2018年高校剣道選抜大会をうらなう②

2018年高校剣道選抜大会について、前回は九州学院と福岡大大濠について語った。

今回は水戸葵陵、佐野日大、高千穂高校について語っていきたい。

 

水戸葵陵 (茨城県)

関東を代表する強豪校の水戸葵陵も注目校の一つだ。

今年は大将を務める岩部 (2年) を中心に棗田(2年)、新谷(1年)、鈴木(1年)、木村(1年)、渡邊(1年)、豊田亮太郎/豊田虎太郎の双子(1年)ら中学時に全国区で活躍した面々が揃った。

葵陵の新チームは1月の茨城新聞社旗決勝で躍進著しい佐野日大に代表戦で敗れ惜しくも準優勝。更に選抜県予選では同県の宿敵である土浦日大とまたもや代表戦までもつれこみ、岩部が土浦日大・大将の小松崎にメンを奪われ優勝をさらわれた。幸い、岩瀬日大との選抜出場決定戦を制した葵陵が選抜出場権を獲得したが本選に向け不安が残る。

選抜のトーナメントでは順当に勝ち上がれば2回戦で福岡大大濠と当たることになる。前回のブログでも書いた通り、大濠は先月の九州大会を制するなど勢いに乗る強豪校。その大濠と序盤戦で当たるとは葵陵にとっては嫌な組み合わせだが優勝するにはいずれにしても避けて通れない道だ。

正剣を信条とする葵陵の剣道は実に美しい。

昨年大将を務めた寒川や今年の岩部のようにスっと背筋が伸びた構えから中心を割って攻める姿は惚れ惚れするほど。逆に言えば、九州勢と比べて剣道が綺麗すぎ勝負に徹した一本を取るという剣風ではないように見えることも。とは言え、基本に忠実な稽古を積み重ねていくことにより、去年の杉田のような春先に突如大化けする選手も輩出してきた。

今までの試合を見る限り、個人的には福大大濠にかなり分があるように見えるが選抜までに葵陵がどこまで仕上げてくるか楽しみだ。

 

偉大な先輩達を超えろ!名門・水戸葵陵 (高校剣道)

2018.03.13

 

佐野日大 (栃木県)

近年一躍注目を浴びるようになった高校と言えば佐野日大。

昨年インターハイ3位に食い込んだレギュラー陣がほぼ残り、全国トップクラスの経験と実力をもつチーム。

大将の大平は昨年2年生ながらインハイ個人準優勝を果たした。間違いなくこの学年では全国で5本の指に入る実力者だ。

メンバーは関東圏出身者で固められており、西野 (2年、栃木・間々田中)、志良堂(2年、神奈川・潮田中)、原田 (2年、千葉・幕張本郷中)、須藤 (2年、栃木・壬生中)、清水 (1年、埼玉・芝中)、原田 (1年、東京・東松舘)など。

佐野日大、大いなる挑戦 (高校剣道)

2018.03.13

 

全国トップクラスの実力を持つ佐野日大。今回の選抜では九学、福大大濠、明豊といった勢いに乗る九州勢と別のブロックに入ったことが大きい。順当にいけば最初の山場は準々決勝の島原戦だろうか。個人的には決勝までは勝ち進むのではないかと考えている。

昨年レギュラーだった西野が怪我で戦線を離脱していた点は気がかりだ。西野が不在の間は原田龍、原田光のW原田が活躍して穴を埋めていたが西野が選抜までに復帰できるかがキーポイントになりそうだ。しかし、西野が復帰したからといってすぐにレギュラーに戻れるほど佐野日大の選手層は薄くない。W原田も相当の実力者であり、選抜にどういった布陣で臨むのか楽しみである。いずれにしてもこうした高いレベルでのレギュラー争いが佐野日大を更なる高みへ導いてくれることは間違いない。

 

高千穂 (宮崎県)

長らく”古豪”と言われてきた高千穂は昨年見事に復活を遂げた。

高千穂はこれまでにインターハイ優勝3回 (準優勝3回)、玉竜旗優勝3回 (準優勝3回)、魁星旗優勝2回 (準優勝2回)など、高校剣道界に輝かしい実績を残す名門中の名門。

同校を一言で表現するならば、”伝統” の二文字が相応しいだろう。高千穂の剣道場にはこれまで脈々と高千穂の栄光と伝統を守り抜いてきた先人達の汗と涙が染み込んでいる。剣道部の面々はその伝統の重みを感じながら日々稽古に励んでいることだろう。

輝かしい戦績を積み上げてきた同校だが、最後にインターハイを制したのは1991年まで遡らなければならない。1991年は高千穂の黄金期で浅田健二・溝川幹俊・甲斐昌太・佐藤博光・吉井泰裕らを擁してインターハイと玉竜旗の2冠を飾った。浅田健二は剣道ファンの間で”史上最強の先鋒”として知られている選手。その圧倒的な瞬発力とスピード、技のキレで勝ちに勝ちまくった。特に勝ち抜き戦の玉竜旗では大活躍、高千穂は圧倒的な強さで決勝進出を果たし、佐伯鶴城との決勝でも先鋒の浅田一人で相手校の中堅まで抜いて優勝に大きく貢献した。

その浅田の時代から26年の年月を経て、後輩達が再びインターハイの頂点を獲った。

昨年、清家石本ら3年生を中心としてインハイ決勝まで勝ち上がった高千穂。相手は同じく九州の強豪・島原。大将の志築を中心に非常にまとまりのあるチームだ。高千穂は先鋒の石本と次鋒の古澤が引き分け。中堅の林が引きドウのフェイントから豪快な引きメンを奪い島原の丸井から一勝を挙げた。副将の谷口も引き分け、リードして大将戦を迎えたものの、島原の志築が試合中盤に清家からツキを奪って試合を振り出しに戻した。

代表戦はやはり清家と志築の再戦。清家は非常に技が多彩で器用な選手。対して志築は比類なき爆発力を持つ飛び込みメンなど豪快な技で攻める。

延長戦は両者の意地がぶつかり合う展開。パワーと勢いで勝る志築が積極的に攻めるが清家が巧みな剣裁きで対抗する。延長戦が始まってから2分ほど経った時、志築の竹刀が清家の防具に絡まり止めがかかる。

試合開始線に戻る両者。お互いに披露はピークに達している。審判の開始の合図とともに清家がコテに飛び込むが当たらない。そのまま中途半端な間合いで志築の動きが止まった一瞬だった。清家が体勢を立て直し真っすぐメンに飛び込んだ!志築も慌ててメンを合わせにいくが間に合わない。

「バコーーーン!!」

清家のメンがドンピシャで志築を捉え、その瞬間、高千穂の26年ぶりインターハイ優勝が決まった。

さて、昨年のインハイ優勝メンバーから残ったのは谷口のみ。同じ学年では東、新森、木山、山片らが新チームのレギュラーとなっている。谷口と新森は大塚中出身、福大大濠の木島は同期だ。木山は高千穂剣道を学ぶため東大阪から参戦。また、1年生には高千穂中学から上がってきた吉村。吉村は全中個人3位の実績を持つ。

個人的な注目選手は新森。彼の得意技は飛び込みメン。大柄な新森がスっと構えるとそれだけでも圧力があるのだが、そこからノーモーションかつ最短距離でビシっっと相手の面を打ち抜く。先月の全九州大会では個人戦にも出場、1回戦で熊本の東海大星翔・櫻井と対戦。櫻井と言えば、新人戦団体の決勝で九学の重黒木を破る活躍を見せた実力者だ。しかし、櫻井ですら新森得意のノーモーション面を防ぐことが出来ず、新森が2回戦進出。あの面を打ち抜くスピードには驚かされた。恐らく相手は面を打ち抜かれてからようやく打たれたことに気づく、という感じだろう。

続く相手は優勝候補・島原の黒川。黒川もまた幼少期からこの世代トップを走り続けている選手だ。試合序盤、新森のノーモーションメンが黒川の面金を捉えた!おお、旗が1本上がる!が、惜しくも1本はならず。その後は黒川が豪快な引きメンを決め新森を破った。

残念ながら2回戦敗退となってしまった新森だが、相手はあの黒川だ。それより個人的に気になるのは彼の成長速度。昨年12月に高千穂が若潮杯に出ていた時と2月の全九州で体格が一回り大きくなっており、打ちの速度や強さが格段に向上している気がした。いや、気のせいかもしれないが、彼は今爆発的に成長している途中なのかもしれない、などと考えている。

将来が楽しみな選手の一人だ。

さて、高千穂がベスト8に勝ち上がるには立教新座 (埼玉)、奈良大付属 (奈良)、桐蔭 (神奈川)らを破る必要がある。桐蔭が近年元気が無い事を考えると高千穂がベスト8まで勝ち上がる可能性は高いと考える。ベスト4に進むには明豊 (大分)、東海大札幌 (北海道)、育英 (兵庫)、龍谷 (佐賀) などの勝者を破る必要があるが、どこが勝ち上がってくるとしてもここは非常に厳しい戦いになるだろう。

ちなみに高千穂の選抜での最高順位は1995年の準優勝。昨年のインターハイに続き、選抜でも古豪完全復活を示すことができるか注目したい。

 

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