明豊高校、破天荒ルーキー達の集大成 (高校剣道)

 

今から2年前の4月、突如として高校剣道界に現れ注目の的となった高校がある。

大分県別府市の明豊高等学校だ。

プロ野球ファンならご存じだろうか、ソフトバンクホークスの今宮健太選手の母校である。

 

創部2年の快進撃

明豊の剣道部は今から2年前の4月に創部された。

きっかけとなったのは同じ学校法人が運営する別府大学剣道部の岩本総監督を指導者として迎えたこと。岩本監督と言えば、2008年に大分・日田高校をインターハイ初優勝に導いた名将。この指導を受けるため大分県内外から将来有望な11人の選手 (女子含む) が集まり、「破天荒」をスローガンに明豊高校剣道部の歴史は始まった。

 

さて、その創部一年目の2016年、明豊剣道部は部員全員が1年生ながら何と何と大分県三冠を達成してしまったのだ!三冠とはつまり、創部間もない6月のインターハイ大分県予選、秋の新人戦、そして翌2017年の選抜県予選だ。1年生だけの、言わば急造メンバーで三冠とは恐るべし。

十代の頃の1歳の差は非常に大きい。特に体の出来上がっていない中学生が高校剣道に対応するには通常それなりの時間を有する。中学生の頃に全国トップクラスで活躍した選手の中でも上級生を押しのけてレギュラーを獲得し試合で活躍できる選手は毎年ほんの一握りだ。

区大会ならまだしも、1年生だけで県大会を制するなど聞いたことがない。まさに偉業である。

ちなみに大分県は決して剣道レベルの低い県ではない。前述のようにインターハイ優勝を果たした日田高校、全国大会の常連で会った大分舞鶴高校など他県の強豪と戦っても引けを取らない。ちなみに岩本監督は大分舞鶴でも指導しており、その間に同校を6度の全国大会出場に導いている。いやはや、岩本監督の指導力恐るべし・・・

 

明豊高校のメンバー

さて、ここで明豊高校の主なメンバーを紹介したい。

中尾 (2年生・大阪市立菫中学出身)

武蔵 (2年生・常総市立水海道中出身)

釘宮拓海 (2年生・大分市立東陽中 / 光明館出身)

釘宮朋葵 (2年生・大分市立東陽中 / 光明館出身)

伊藤 (2年生・日田東部中出身)

 (1年生・大分中出身)

深田 (2年生・竹田南部中 / 光明館出身)

山口 (2年生・杵築中出身)

 

1年生の頃から共に戦っている彼ら、実力は中々均衡しているようで、この2年間でかなりレギュラーやオーダーは変動している。岩本監督はその時々に調子の良い選手を選んでいるのだろうが、去年の玉竜旗とインターハイ時点でのオーダーは先鋒・堤、次鋒・釘宮、中堅・深田、副将・武蔵、大将・中尾だ。

中尾は大阪菫中学出身、チーム一の長身を誇り大将を務めている。恵まれた体躯から繰り出す豪快な飛び込み技が持ち味だ。去年のインターハイから今月の九州大会までずっと大将はこの中尾。九州大会の団体準決勝、東福岡・中山との代表戦に出てきたのも中尾だ。結果は惜しくも敗れたが、岩本監督が今最も信頼を寄せている明豊剣道部の柱はこの中尾なのだろう。その期待に応え、昨年12月に行われた県新人戦では見事個人優勝、今月の九州大会では個人3位入賞を果たした。

武蔵治斗は茨城から岩本監督の指導を受けるためはるばる大分の地までやってきた。苗字からしていかにも剣豪らしい。団体戦では主に副将を務める。上背は中尾ほどではないが、がっしりとした体格で背中が真っすぐに伸びた構えが美しい。昨年の玉竜旗7回戦では名門・水戸葵陵と激突、武蔵は葵陵の次鋒・貝塚を破り、中堅・岩部と対戦。別の記事でも書いたが岩部は世代を代表する強豪選手。岩部に1本取られた直後コテを取り返したが、最後は岩部のコテに敗れた。

釘宮拓海も1年生時から明豊の主力を担うメンバーだ。小柄ながら、他を寄せ付けない俊敏性と攻撃力で昨夏は個人でインターハイ出場を果たした実力者。インターハイ本戦では準優勝を果たした佐野日大・大平選手と10分を超える死闘を繰り広げた末、最後は大平の出小手に敗れた。(ちなみにもう一人の釘宮朋葵は同じ東陽中 / 光明館出身。双子なのだろうか?)

主将の伊藤勇太朗は日田東部中時代全国大会に出場した実力者。

先鋒を務める1年生の堤光誠は地元・大分の出身。大分中学校時代に県個人チャンプになるなど地元では名の知れた存在であった。

深田捺巳も地元大分出身。釘宮らと同じ光明館出身で、中3時には道連全国大会に団体で出場。

山口武士は全国でも有数の強豪校・杵築中出身。杵築中では県個人優勝や全国大会出場を経験。

 

高大連携

明豊高校剣道部の特徴は「高大連携」だ。

「高」は高校、「大」は大学を指す。実は明豊高校を運営する学校法人別府大学はその名の通り別府大学も運営しており、明豊剣道部員は別府大学剣道部と一緒に稽古をさせてもらっているのだ。技術や体格で勝る大学生を相手に日々稽古が出来るメリットは大きい。

特に別府大学は近年躍進著しい大学剣道の台風の目だ。こちらも創部4年目という短期間で名将・岩本監督の指導のもと躍進し、昨年の九州大会で準優勝、出場切符を掴んだ第65回全日本学生剣道優勝大会では天理大、国際武道大、関西学院大、関西大を破りベスト4進出。準決勝では筑波大の前に力尽きたものの、大将戦では塩野が筑波大大将の筒井を破る金星を挙げた。ちなみに、有力選手の多くが関東圏の大学に進学する圧倒的な ”東高西低” の大学剣道において九州勢がこの全国の舞台でベスト4に食い込むのは何と65回の大会中たった2回目。まさしく、別府大学剣道部は歴史に名を刻んだと言ってよいだろう。

このような大学剣道でもトップクラスの先輩達と日々稽古を行える環境は明豊剣道部の面々にとって非常に大きなメリットだ。

 

明豊剣道部の2018年

さて、1年生軍団が大暴れと一躍高校剣道界の注目を浴びた明豊剣道部であったが、今のところ4大大会では入賞を逃している。今度こそはと挑んだ昨夏の玉竜旗7回戦では優勝候補の水戸葵陵と当たり葵陵の中堅・岩部に大将・中尾まで抜かれてしまった。その後のインターハイでは2年連続予選リーグ敗退。

このままでは、大分県だけの内弁慶、と言われてしまいそうだが決してそんなことはない。今年2月に行われた九州大会。ここ5年間の4大大会全ての優勝校が九学などの九州勢であることからも分かるように九州の高校剣道レベルは間違いなく全国随一。明豊はそんな九州大会で堂々の3位入賞を果たした。準決勝では東福岡と代表戦までもつれ込む大接戦。最後は東福岡の大将・中山に中尾が豪快なメンを奪われ決勝進出を逃したが、全国トップクラスの実力があることは十二分に証明した。更に個人では中尾が3位入賞

最初の4大大会は3月下旬の選抜大会。

先日組み合わせが発表されたが、おお、明豊、中々キビしい場所だぞ・・

まず一回戦は北海道の東海大札幌。現在北海道県警に奉職している安藤や中大の大型上段・三上 (東海大四時代)を輩出した強豪校だ。特に大将の青木は現時点で全国トップクラスの実力を持つ。東海大札幌を破ったとして、次は東海大星翔(熊本)と明和県央(群馬)の勝者と対戦。以前ブログで書いたが、東海大星翔は熊本であの九州学院と鎬を削っている高校。昨年の新人戦では決勝で九学を破るなど大将の櫻井をはじめとして粒ぞろいのメンバーを揃えている。

そこでも勝つとしよう。そうすると次は龍谷(佐賀)、育英(兵庫)などの勝者と対峙。そしてその次は高千穂(宮崎)、桐蔭(神奈川)、奈良大付属(奈良)などの勝者と・・・

いやはや!凄まじい対戦相手だ!(笑)

勿論、全国選抜なのでどことあたっても簡単な相手などいないのだが、これほど初戦から全国トップクラスとの戦いが続くとは。まさに相手にとって不足無しだ。

1年生の時から注目を浴びた明豊の面々も春には3年生。半年後には最後の大会となるインターハイが控えている。今年こそは!!そう彼らも心に誓っていることだろう。

選抜まで残り約 1か月。積み上げてきた稽古の成果を正念場で発揮できるか。

「破天荒」に駆け抜けてきた明豊剣道部の集大成を見せる時が間もなくやってくる。

 

こちらの記事もよく読まれています!

麗澤瑞浪稀代の大将、いばらの道へ (高校剣道)

2018.03.18

関東近県高校選抜、佐野日大が優勝

2018.03.16

打倒・九州学院なるか? 東海大星翔 (高校剣道)

2018.03.13

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です