全国高校剣道選抜、徒然なる雑感① (高校剣道)

昨日3/26(月)、全国高校剣道選抜大会が開幕した。

今日でトーナメントの1,2回戦が終了し、3回戦へ進出する高校が出揃った。

やはり全国大会は面白い。特に選抜は高校剣道4大大会で最も早く開催されることもあって各校の全国での立ち位置を知る上で試金石となる大会。今回はそれぞれの試合を見てMaruoが思ったことや注目した選手など徒然なるままに書いていこうと思う。

 

小山 (栃木) VS 帝京第五 (愛媛) 一回戦

栃木県の2強の一角、小山と愛媛県王者・帝京第五の対戦。

別の記事で書いた通り、小山は栃木県王者の座を佐野日大に明け渡しており、今回の選抜も栃木県2位ながらも昨年佐野日大がインターハイで活躍した背景もあって本選に出場しているという非常に悔しい事情がある。(もちろん県で準優勝すること自体、偉業なのは間違いないのだが!) 

帝京第五は一昨年ではインハイ個人ベスト8で筑波大学に進学した橋本を輩出した愛媛の古豪。トレードマークであるアズキ色の胴と紫色の面紐が美しい。

昨年12月の愛媛県予選の決勝で宿敵・新田高を1本差で破り本戦出場を果たした。帝京第五は新田に11月の愛媛県新人戦準決勝で敗戦しており予選では辛くもその雪辱を果たした形だ。ちなみに、新田には片山という四国新人戦個人で優勝する強者がおり、今後も帝京第五の前に立ちはだかることになるだろう。

さて、帝京第五の先鋒・乾は上段の選手。比較的小柄だが、その俊敏さを活かした上段は相手にとってかなりやりづらそうに見えた。おっと、かなり惜しいコテメンだ!結局、小山の菊池とは引き分けに終わったが、あまりいないタイプの上段で今後が楽しみな選手だ。

帝京第五の中堅・辻、大将・岡田も相当な実力者。小山の東野、篠原に対して反則を含めた2本勝ちを収め、帝京第五の2回戦進出を決めた。

 

龍谷富山 (富山) VS 福岡大大濠 (福岡) 一回戦

福大大濠は先月の九州大会で見事団体優勝を果たした。大濠も熊本の九州学院と並ぶ「選手層がブ厚~~い」強豪校だ。1回戦では、先鋒から政野 (那珂川北出身)、池田虎 (如水館)、中山 (福岡十生館)、長野 (如水館)、木島 (大塚中、神武館)という豪華な面々。ここに井上 (護国少年)、濵地 (元岡中)、池田龍 (如水館)、西口 (関中)らが加わるのでレギュラー争いは全国でもトップクラスの激しさだ。

永遠のライバル!福岡大大濠と東福岡 (高校剣道)

2018.03.13

先鋒戦は大濠の政野がまず一本勝ち。次鋒は剣道界で有名な双子・池田兄弟の池田虎ノ介。名門道場の如水館出身で、全中個人ベスト16。層の厚い大濠で唯一1年生からレギュラーを張る実力はダテではない。試合開始の合図とともに龍谷富山・大野からコテを奪い、会場を沸かせる。福岡に天才の双子がいるというのは以前から剣道界で知られていたが、大濠に入って一層才能に磨きがかかっているように見えた。いや、才能などと言っては失礼かもしれない、大濠で血の滲むような稽古を積んでいるのだろう。と言っている間にまたコテを決め二本勝ち。うーん、末恐ろしい一年生だ。

中堅の中山も1本勝ちで勝負あり、大濠が2回戦進出を決める。龍谷富山は副将の澤田が長野から1本奪い一矢報いたが、大将の水口も木島に敗れ 0-4 で敗退した。

やはり、福大大濠の俊敏さと打ちの鋭さに対抗するのは同じ九州勢でなければなかなか難しいかなあ・・と思わせる試合内容であった。

 

水戸葵陵(茨城県) VS 高松商業(香川) 一回戦

水戸葵陵のレギュラーは今年に入って先鋒から新谷、鈴木、木村、棗田(なつめだ)、岩部でほぼ固定されてきたようだ。

葵陵と高松商業の試合は接戦となった。先鋒、次鋒が引き分け。高松商業の次鋒・藤澤はこれぞ上段(?)とも言うべき立派な体格で重い一撃を見舞ってくる。惜しい打突もあったが、葵陵の一年生エース鈴木と引き分け。葵陵の中堅・木村が一本勝ちしたところでやっと試合が動くが、その後は副将、大将ともに引き分けで1-0で葵陵が福大大濠の末2回戦進出を果たした。

敗れはしたものの、高松商業はまさしく葵陵とがっぷり四つ、五分の戦いを演じた。特に大将の井口が最後まで諦めずに岩部光に食らいついていくファイティングスピリットが印象的だった。

 

福岡大大濠 (福岡) VS 水戸葵陵(茨城) 二回戦

この全国トップクラスの実力と実績を誇る両校の対戦は二回戦ではあまりに早すぎる・・・

決勝戦の組み合わせだと言っても誰も疑わないだろう。

この両校は過去幾度となく対戦してきたが、個人的に印象深いのはやはり2011年の玉竜旗。例年福岡マリンメッセで行われる玉竜旗は言わば九州勢のホームだ。そんな中、高倉、若旅兄弟擁する水戸葵陵は佐賀の龍谷、熊本の九州学院といった九州の強豪を次々と破って決勝の舞台にたどり着いた。決勝で待ち構えるは、ディフェンディングチャンピオンの福岡大大濠だ。大濠は前年、2年生大将を務めた竹ノ内が決勝の延長戦で九学の東郷知大を引きコテで破り優勝していた。2連覇を狙う大濠と関東勢の想いを背負い玉竜旗初優勝を狙う葵陵。死闘は大将戦にもつれ込み、最後は竹ノ内が高倉との相メンを制し2連覇を達成した。

さて、大濠は先鋒を政野から井上スイッチ。井上は九州大会など主要大会で先鋒を務めており、大濠にとって先鋒のファーストチョイスは井上なのだろう。井上と葵陵・新谷の先鋒戦はお互いい様子見感が強く引き分け。

次鋒は大濠・池田虎ノ介 vs 葵陵・鈴木龍生1年生エース対決だ。前述の通り、池田は中学時、全中個人ベスト16の実力者だが、その全中で準優勝したのが何を隠そう鈴木なのである。その大会で2人が直接対戦することは無かったが、池田が4回戦で敗れた帖佐の政岡に準々決勝で勝ったのがこの鈴木。

さてこの若き龍虎の戦いは「俺が1年生世代で一番なんだ!」と言わんばかりの意地のぶつかり合いとなった。それにしても池田はそのスピードもさることながら、打突機会が実に素晴らしい。脚を使って自分のペースを作り、スキがあれば間髪入れずに鋭く打ち込んでくる姿を見ていると、これぞまさしく九州剣道を体現している少年じゃないか、と感嘆せざるをえない。

鈴木も対応しているが、徐々に池田のスピードに押され気味になってきた。おお、池田の技ありフェイント飛び込みメンが決まった!鈴木は取り返そうと猛烈に攻めるが、焦ったか少し攻めが雑になる。不用心にコテに飛び込んできたスキを見逃す池田ではなかった。コテを躱しつつの引きメンが完璧に決まり、一年生ルーキー対決は池田に軍配が上がった。

中堅戦は開始直後に葵陵・木村の引きコテが炸裂!一瞬、葵陵応援席が盛り上がるが、少し浅かったか。一本にはならない。おっと!今度は凄まじい相メンだ!木村に旗が一本上がるが、これも一本にはならない。次鋒戦の負けを取り返そうと奮闘した木村だったが、惜しくも引き分け。

副将戦も引き分けに終わり、岩部が2本勝ちをしてやっと代表戦に持ち込めるという状況に葵陵は追い込まれた。しかも、大濠の大将は世代トップクラスの実力を持つ木島。2月の九州大会個人戦では見事準優勝を果たしている。

ところで、岩部と木島の対戦はこれが初めてではない。2015年の全国道場少年剣道大会個人決勝で2人は対決、木島がメンを決めて優勝した。つまり、岩部にとってこの試合は葵陵の3回戦進出がかかっているだけでなく、全国の舞台で木島にリベンジを果たす待ちに待ったチャンスなのである!

序盤から岩部は怒涛の攻めを見せる。スッとせす背筋が伸び竹刀をゆったりと構える岩部の立ち姿は芸術品のように美しい。その肉体に強靭な体幹を持っているのだろう、その構えから全く姿勢を崩すことなく強烈な打突を放ってくる。しかし、惜しい打突はあるのだが中々一本にならない。

一方、攻められたままで黙っている木島ではない。岩部が攻め疲れて居着いた瞬間を逃さずにメン、コテに飛び込んでくる。上背はそれなりにある木島だが、九州仕込みの機動力はすさまじく、休むことなく脚を使って間合いを取り、スキあらばその高い跳躍力を活かしてすっ飛んでくる。まさしく名前の「飛翼」が剣風を表しているようだ。

刻々と時間が過ぎていき焦りを募らせる岩部。このまま引き分けで終われば、まさかの2回戦敗退だ。名門・水戸葵陵の名に懸けてそれだけはさせるものか!岩部の執念がのった逆ドウが木島を切り裂いた!3本の旗が一斉に上がる。もう一本取れば代表戦だ。しかし時間は残り少ない。猛攻を続ける岩部だったが残酷にも試合終了の笛が。

名門・水戸葵陵のあまりにも早い選抜敗退が決まった。

偉大な先輩達を超えろ!名門・水戸葵陵 (高校剣道)

2018.03.13

 

城北(徳島) VS 小牛田農林(宮城)

小牛田農林(こごたのうりん)は長い歴史を持つ高校剣道界有数の古豪。国士舘大学の大将を務め、全日本剣道選手権にも出場した菅野など多くの剣豪を輩出した。

小牛田農林の次鋒・吉橋は今大会で1,2を争う立派な体格の持ち主だ。上背もあり体も分厚い重装甲車のような体なのだが、剣裁きは非常に柔らかで多彩な技を繰り出す。特に目を引いたのが引きメンの上手さ。引き技は九州勢の専売特許のようになっているが、吉橋は関東勢には珍しく引きメンが冴え渡っている。この一回戦でも城北の小山田から華麗に引きメンを2本奪い勝利。

対して、小牛田農林中堅の武田は比較的細身な体形。真っすぐ中心を割って打ち込む伸びやかなメンが印象的な剣士だ。この武田がコテで勝利し、小牛田農林が先鋒から3連勝、終わってみれば5-0の圧勝で2回戦進出を決めた。

中心を取って真っすぐ打突を繰り出す小牛田農林伝統の正剣が光った試合であった。

 

龍谷大平安(京都) VS 桐蔭(神奈川)

かつての常勝軍団・桐蔭も2012年の新潟インターハイを制してから全国の頂点には手が届いていない。神奈川県内では1月の県予選決勝でライバルの東海大相模に1勝も許さず優勝するなど依然として王座に君臨するが、若潮杯では予選リーグで敗退するなど全国の舞台ではピリっとしない。

とはいえ、さすがは名門・桐蔭と言おうかメンバーは豪華だ。高橋は秋田山王中出身で東北チャンピオン。南波は潮田中出身で重黒木 (九州学院) や志良堂 (佐野日大)らと全中団体優勝を果たしたメンバー。磯崎は関東個人2位の実績を持つ  (ちなみに決勝では潮田中の重黒木に敗れている)。

先鋒戦は赤胴がトレードマークの龍谷大平安の山本が桐蔭・北原からコテを奪い先勝。盛り返したい桐蔭だったが、アレアレと思っているうちに次鋒、中堅、副将と全て引き分けに終わる。

桐蔭、どうしてしまったのだろうか?全体的に龍谷大平安を押し込んではいるのだが、打突に全く思い切りや覇気がないように見える。大将の高橋舜は何が何でも勝利しなければならない状況に追い込まれた。

上背のある高橋と小柄な龍谷大平安大将・奥野にはかなりの身長差がある。ここでも高橋が押し気味に試合を進め、終盤にメンを決めて勝負を振り出しに戻した。

代表戦はお互いに大将で続投。

勝たねばならない大将戦では積極的な攻めを見せていた高橋だったが、代表戦では慎重にならざるを得ないか、思い切りの良い打ちがなりを潜める。一方、奥野は脚を使った俊敏な動きで高橋を崩そうとするが中々決め手が見つからない。お互いに決め手を欠いたまま10分、20分・・と時間が経つ。

お、ここで両者に反則が1回ずつ出た。おそらく消極的な試合に対する反則だろう。

それでも勝負はつかない。30分ほど経った時、主審が試合を一時中断し二人に休憩を取らせる。昨年のインターハイ個人戦で九州学院の岩切と高千穂のが1時間を超える試合をして話題になったが、普通はここまで延長戦がもつれることは珍しい。

さて、試合再開。休憩で多少体力を回復したか、試合に躍動感が戻った。互いに1回戦では負けられない!と意地がぶつかり合う。試合が再開して10分ほど経っただろうか、間合いに入った奥野が竹刀を振りかぶった。一瞬、高橋の対応が遅れる。

メーーン!!振りかぶった奥野の竹刀が高橋の頭上に振り下ろされた!1本、勝負ありだ。

高橋、しばらく突っ立ったまま動けない。桐蔭、まさかの一回戦敗退が決まった。

 

つづく

 

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