若き龍虎、全国の頂点へ (高校剣道)

 

長い剣道の歴史は、これまでに何組もの兄弟剣士、双子剣士を生み出してきた。

 

宮崎正裕と宮崎史裕 (ともに全日本を制した日本を代表する剣豪)

正代賢司と正代正博

宮本大幹と宮本浩平 (ともに高知・明徳義塾→中央大学)

岩部光(茨城・水戸葵陵)と岩部広太郎(山梨・日本航空) ・・・

 

兄弟・双子は時に試練を乗り越える仲間となり、時に最も負けたくないライバルとなって互いに切磋琢磨し己の剣を磨き上げてきた。

さて、今現在、最も剣道ファンの注目を浴びている双子剣士と言えば池田虎ノ介、龍ノ介だろう。

今回は、将来の日本剣道界を担うであろうこの若き龍虎について語っていきたい。

 

剣道の聖地・福岡が生みし若き天才

池田兄弟は福岡の強豪・福大大濠のOBで玉竜旗や国体の優勝経験を持つ父の影響で幼少期から地元の名門道場・如水館で剣道を始める。如水館は昭和50年に池田呑範士八段が自宅の敷地内に開いた道場で、これまでに数えきれないほどの優秀な剣豪を輩出してきた。その池田氏の血を引く虎ノ介、龍ノ介の二人には如水館創始者の血が脈々と流れている、というわけだ。

如水館の厳しい稽古と父の英才教育のおかげで二人はメキメキと頭角を現し、小学生低学年時から如水館のレギュラーに定着しだす。

2009年、剣聖宮本武蔵顕彰全国少中学生剣道大会の小学生1,2年の部で龍ノ介が副将、虎ノ介が大将をつとめ如水館は見事優勝を果たす。如水館は3,4年生の部でも優勝。さらに同年、剣道界有数のマンモス大会である神武館旗争奪少年剣道大会の小学2年生の部で龍ノ介が優勝。大会で入賞を重ねる池田兄弟はこの頃から九州では名前を知られる存在になっていった。

この頃の如水館小学生チームは池田兄弟、小畔、柿元竹本という反則級の最強メンバーで地区大会から全国大会まで勝ちまくり、連勝街道を爆走する。中学に進んでもその勢いは衰えることを知らず、如水館の白胴着は全国の道場から恐れられた。虎ノ介は中3時に全中でベスト16に進出。

 

父の母校、福大大濠へ

高校生になった虎ノ介、龍ノ介はともに父の母校である福大大濠に進学。

言わずもがな、大濠は全国屈指の強豪校だ。一つ上の学年には同じ如水館出身の長野がいた。

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虎ノ介と龍ノ介は早速1年生にして大濠の熾烈なレギュラー争いを制し、2月の九州大会団体7人制のレギュラーに選ばれる。準決勝の九州学院戦、五将の虎ノ介は末永にコテを奪われ敗戦。三将にすわった龍ノ介は小川と引き分け。副将の長野が深水に勝利し大濠が決勝進出を決めた。

決勝の東福岡戦では虎ノ介が準決勝のうっ憤を晴らすかの如く永渓にメンを2本決めて勝利。龍ノ介は樋口と対戦。樋口は地元福岡の今宿少年剣道で如水館としのぎを削ってきた選手。さて、最初に1本を取ったのは樋口。華麗な引きドウが決まる。その直後、龍ノ介がメンを取り返す。いやはや、九州大会の決勝で1年生とは思えない落ち着いた試合運びだ。しかし、最後は経験で勝る樋口が抜きドウを決めて勝負あり。

東福岡が得本数リードで迎えた大将戦、大濠大将の木島飛翼が怒涛の攻めで中山豊樹からメンを2本奪い大濠が7年ぶり3回目の優勝を決めた。

それにしても1年生にして全国トップクラスの相手と堂々と渡り合えるとは末恐ろしい双子だ。

2人の剣風はまさに福岡剣道の粋を具現化したものといって過言ではない。素早い脚さばきで自分のペースを作り、スキあらばガンガン積極的に打ち込んでくる。特筆すべきは試合勘と打突機会の素晴らしさ。その抜群のセンスであっという間に一本を取って帰ってくる。スピードやパワーはともかく、試合勘や打突機会というのは小さい頃から剣道に触れていても正直なところセンスがなければ中々一定以上のレベルにはならないのだが、2人の剣道を見ているとその血筋を感じざるを得ない。(むろん、厳しい稽古の成果でもあるのだろうが・・・)

 

虎ノ介、選抜でも大活躍

先日行われた全国選抜でも虎ノ介が次鋒で出場。

回戦の龍谷大富山戦では軽快にコテコテの2本勝ち。2回戦、最初の正念場の水戸葵陵戦では鈴木との一年生ルーキー対決。虎ノ介が全中個人ベスト16に入った全中で準優勝したのが何を隠そうこの鈴木。その大会で2人が直接対戦することは無かったが、池田が4回戦で敗れた帖佐の政岡航準々決勝で鈴木が勝利し、そのまま準優勝。

全中の実績では鈴木に劣る虎ノ介だったが、そんなことは関係ない。如水館仕込みのスピードで鈴木を翻弄しあっという間にメンメンの2本勝ちだ。結局、大濠はこの虎ノ介の1勝を守り切り3回戦進出を決めた。

ここまで虎ノ介、完璧な働きぶりである。

回戦の相手は鹿児島商業。今度は先鋒・井上の1勝を後続が守り切り準々決勝に進出した。さて、次の相手は小川擁する佐賀の敬徳。

先鋒の井上が引き分け。次鋒の虎ノ介はというとあっという間に2本勝ちして帰ってきた。もはや彼がどれだけ活躍しても驚かないが、なんなんだこの1年生は・・・。おっと、安定感のある中堅の中山が1本負け。しかし副将の長野が1本勝ちして大将に繋ぐ。

敬徳の大将は小川だ。中学時に全中個人5位の実力者で1年生にして敬徳の大将を務める。敬徳が勝つためにはまず大将戦で木島に2本勝ちし、代表戦でも勝たねばならない。普通に考えればミッション・インポッシブルである。

しかしこの小川、普通ではない。2本勝ちしなければいけない大将戦ではよく焦った大将が闇雲に打ちにいって返し技をくらったり、全く間合いではないところで打ちにいって時間を浪費することが多いのだが、小川は非常に落ち着いている。2本勝ちが必要な大将とは思えぬ落ち着きでジワ~~と木島の間合いに入っていく。1年生にしてプレッシャーのかかる大将戦でこの堂々たる試合運び、どこかで見たことがあるぞ。ああ、そうだ。1年生時から強豪・麗澤瑞浪の大将を務めた小角にその姿が重なったのだ。

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あれあれ、なんだか木島の方が落ち着きをなくしてきたぞ。ああ!木島のメンに小川が出コテを合わせる!木島のメンも際どかったが1本になったのは小川のコテ。流れは完全に敬徳に傾いた。大濠は必死に木島を落ち着かせようと声援を送るが届かない。

あーー!小川の逆ドウが鮮やかに決まった!小川、なんという精神力の持ち主だ。

代表戦、敬徳はもちろん小川の続投。大濠はどうなる?

木島の続投でもいいが2本負けを喫した直後だと精神的に立て直せるか不安が残る。だとすると、2年生の中山か長野か。おお、なんという事だ!虎ノ介が面をつけはじめたぞ!!

全国屈指の名門・大濠で1年生が代表戦に選ばれるとは・・・とはいえ、端から見ていても今大会で最も絶好調だったのは虎ノ介。妥当な判断だろう。とはいえ、全国大会のベスト4をかけた1年生同士の代表戦というのはあまり聞いたことがない。

学年は違えど、虎ノ介と小川の代表戦はがっぷり四つの好勝負なる。虎ノ介が惜しい飛び込みメンを繰り出せば負けじと小川もメンで応戦する。

小川、代表戦でも非常に落ち着いている。虎ノ介の切れ味鋭い打突を躱しながらこれまたジワ~~とプレッシャーをかける。虎ノ介、プレッシャーに押されたか一瞬手元が上がる。

コテーーー!バチィーーンン!! うわー小川のとんでもないコテが炸裂した!

会場はドっと盛り上がる!

1年生対決を小川が制し、優勝候補筆頭の大濠まさかまさか準々決勝で姿を消した。

 

若き龍虎、全国の頂点へ

選抜では残念な結果になったが、この若き龍虎がすでに全国トップクラスでも十分に戦えることは証明済みだ。

大濠には彼らと同学年に濵地(元岡中)西口(関中)らも控えており、戦力は十分。今年、来年と全国の舞台で大濠の快進撃が見られるに違いない。

若き龍虎は高校でも全国の頂点を制するか。注視していきたい。

 

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