九州学院、「勝てる先鋒」の系譜 (高校剣道)

 

先日の全国選抜の男子団体は九州学院が優勝して閉幕した。

これで九州学院は選抜6連覇を達成、もちろん前人未到の大記録だ。

ここ6年の4大大会優勝校は下記の通り、昨年の魁星旗で九学の4大大会連覇記録は途絶えてしまったが、とはいえ現在の高校剣道界が九州学院を中心に回っているのは間違いない。

  選抜 玉竜旗 魁星旗 IH
2013 九州学院 福大大濠 九州学院 九州学院
2014 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2015 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2016 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2017 九州学院 九州学院 島原 高千穂
2018 九州学院 島原

 

再び選抜の頂点に立てるか 絶対王者・九州学院 (高校剣道)

2018.03.13

近年の九学と言えば、2013年の真田、2014年の山田、2015年の槌田、2016年の星子、2017年の岩切ら大将をつとめた剣士達に注目が集まりがちだ。

しかし、連勝街道をまい進した九学にはそれを支えた「勝てる先鋒」たちがいたことをご存じだろうか。

 

「勝てる先鋒」の系譜

ここでは 2013年から九学の先鋒をつとめた剣士をざっと紹介しよう。

2013年 漆島

2014年 寺田

2015年 梶谷

2016年 鈴木

2017年 重黒木  (もしくは近本) 

 

実にそうそうたる面々だ。私自身、彼らが大事な試合の先鋒戦で負けている記憶がほとんどない。

漆島伊織で印象的だったのは、2013年インターハイ準決勝の島原戦。当時、インターハイは九学が1998年の愛媛IHから取れていなかった悲願のタイトルだった。漆島は宿敵・島原の2年生エース・牧島と対峙、延長戦開始直後に華麗な飛び込みコテを決めて九学の決勝進出に大きく貢献した。錦中出身で2014年に九学の先鋒をつとめたのは寺田、こちらも玉竜旗決勝の島原戦で黒川に1本勝ちし、優勝に貢献。

2015年に先鋒をつとめた梶谷は当時まだ2年生。その圧倒的なスピードと打突機会の良さで勝ちまくり、有名剣道ブロガー剣キチさんをして「史上最強の先鋒」と称される1991年の高千穂高校・浅田健二と同等の選手だと言わしめた。ちなみに剣キチさんによると、梶谷は2015年の4大大会で1敗もしていない。引き分けを除けば勝率は7割5分。全国から強豪が集まる4大大会で負けなし、この勝率は驚愕の一言である。先鋒が勝利した場合のチーム勝率は8割前後と言われており、梶谷選手が同年の4冠にどれほど貢献したかは説明するまでもないだろう。

※梶谷彪雅については剣キチさんのブログ「高校剣道総括1 奇跡の先鋒・梶谷彪雅」に詳しく載っている。

さて、2016年になると梶谷は副将にコンバート。代わりに先鋒にすわったのは平坂中出身の鈴木。若干前傾した特徴的な構えでジワジワ相手を攻める。全体的にバランスの良い選手だが、特にコテ返し面、メン返し面といった返し技の速さが尋常ではない。この鈴木も個人的には先鋒戦で負けているところを見たことがない。この年は星子、梶谷の2枚看板が大きく注目されたが、この鈴木もまた同じくらい九学の4冠に貢献した選手だと思う。

 

系譜を受け継ぐ男

さて、2017年の先鋒事情は少々2016年までと異なる。選抜まで先鋒に起用されていたのは主に近本。俊敏性とスピードが売りの九学らしい好選手だが、選抜後は次鋒や副将にコンバートされ、代わりに1年生エースの重黒木が切り込み隊長をつとめた。重黒木、潮田中時代に全中を獲るなどその実力に疑いの余地はないが、いかんせん無駄打ちせずじっくり攻める剣風だろうか非常に引き分けが多かった。そのため、九学伝統の「勝てる先鋒」というよりか、手堅く後ろに繋ぐ先鋒というイメージを個人的には持っていた。

そして今年、2018年である。私が初めて九州学院高校のレギュラーとして福田が全国区の強豪と試合をしているのを見たのは昨年12月の若潮杯。その時、「あ、また九学の勝てる先鋒が出てきたではないか!」と思った。

小柄ながらスピード感溢れる多彩な技、そつのない試合運び、そして何よりセンスを感じさせる打突機会。九学伝統の「勝てる先鋒」が兼ね備えていた要素を福田はガンガン感じさせてくれた。先鋒としては準々決勝から出場し、埼玉栄の星、高千穂の山片、決勝では佐野日大の清水といった難敵から全て勝利を収める。

福田は九州学院中出身で全中団体優勝時のレギュラー。当時から全国的に名前は知られていたが、高校では2年生秋からレギュラーとして試合に出場している。

昨年と同様、レギュラーやオーダーを流動的に変更して最適解を求める米田監督のやり方により毎回福田が先鋒をつとめている訳ではない。しかし、先日行われた4大大会である選抜の準決勝(vs 敬徳)、決勝(vs 島原)と魁星旗の5回戦(vs 奈良大付属)、準々決勝(vs 水戸葵陵)、準決勝(vs 育英)といった大事な場面では全て先鋒は福田。米田監督にとって先鋒のファーストチョイスが福田なのは間違いないだろう。その期待に応えてこの5試合で福田の戦績は3勝2引き分け。全国トップクラスの試合でこの成績は素晴らしすぎる。

特に、個人的に衝撃を受けたのは選抜決勝の島原戦。福田が島原の松崎に1本勝ちしリードを奪った。

問題はこの時福田が奪った引きコテである。つばぜり合いからの別れ際、一瞬のスキをついた福田の引きコテがバシーー!と決まったのだが、これは2016年に先鋒をつとめた鈴木がインハイ団体決勝で麗澤瑞浪の森から決めた爆裂引きコテに酷似しているのだ!同じ引きコテなのだから当たり前だと言われるかもしれないが、打突のタイミングや打ち方など、本当によく似ている。かつ、普通の選手がマネして打てるようなものではない。

その時、私は福田は間違いなく鈴木と同様、九学の「勝てる先鋒」の系譜を受け継ぐ者なのだと確信したのだ。

 

まとめ

選抜は6連覇を果たした九学だが、続く魁星旗では3位に終わった。もちろん、素晴らしい成績なのだが常に優勝を狙う九学にとっては悔しい結果だったろう。

魁星旗でも福田自身は素晴らしい戦績を残したが、九学が玉竜旗、インターハイと優勝を狙うには福田の「勝てる先鋒」としての働きが必要不可欠だ。これからの戦いで系譜を継ぐ者としての真価が問われる。

九学の「勝てる先鋒」の系譜に新たな一ページが刻まれることを期待したい。

 

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