島原、シルバーコレクターからの脱却 (高校剣道)

 

今年の島原は弱い  一

毎年秋に新チームが発足するたび、島原にかけられる言葉だ。

しかし、その言葉は鍛え上げられた島原の剣士達によって見事に覆されてきた。

さて、今回は全国屈指の島原高校について語っていきたい。

 

シルバーコレクター、島原

長崎県の島原高校は男女ともに全国屈指の強豪校として知られる。

九州学院や福大大濠、水戸葵陵らと同様、毎年安定して全国トップ層に位置することから高校剣道界の”ビッグ3”の一角と言われる。中学生で全国的に大活躍した選手が集まる九州学院や大濠と比較して、島原はそこまで全国的に実績のない選手も一流選手に育成する点が特徴的だ。九学などをエリート軍団だとすれば、島原はまさに野武士集団と言えよう。

公立高校ゆえ練習時間などに大きな制限があるが、渡邉総監督の指導によりもともとは実績のなかった学生でも2年半で見違えるような成長をとげ、エリート軍団を超越する精鋭軍団に生まれ変わる。

さて、ところで近年の島原はシルバーコレクターと呼ばれてきた。

毎年のように全国上位に食い込む実力は持っているのだが、なぜか優勝には手が届かない。そのためについだ異名だ。

5年前から昨年までの4大大会男子優勝校を見てみよう。以前にも何度か書いている通り、九州学院が圧倒的。

  選抜 玉竜旗 魁星旗 IH
2013 九州学院 福大大濠 九州学院 九州学院
2014 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2015 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2016 九州学院 九州学院 九州学院 九州学院
2017 九州学院 九州学院 島原 高千穂

 

九州学院、選抜6連覇を達成 (高校剣道)

2018.03.31

次に”準” 優勝校はこちらだ。

  選抜 玉竜旗 魁星旗 IH
2013 水戸葵陵 高輪 秋田南 高輪
2014 島原 島原 育英 育英
2015 麗澤瑞浪 島原 島原 島原
2016 東海大浦安 島原 島原 麗澤瑞浪
2017 水戸葵陵 高千穂 水戸葵陵 島原

 

5年間の4大大会は20回。そのうち島原はなんと半分近い8回も準優勝しているのだ!

次に多いのが水戸葵陵の3回、そして麗澤瑞浪の2回だ。いかに島原が準優勝している回数が多いかお分かりだろうか。

ちなみに昨年のインターハイを除き、すべて決勝で九州学院に敗れての準優勝である。

そして今年の選抜も決勝で九学に敗れ準優勝。

島原がシルバーコレクターと呼ばれるのも納得していただけるだろう。

 

今年の島原

今年の島原も昨秋の段階では弱いと言われていた。

昨年10月、長崎県中地区高校剣道新人大会の決勝で島原中央に敗れ準優勝。個人戦は黒川、若杉、前田で表彰台を独占し今原の面目を保った。続く11月の長崎県新人戦ではまさか佐世保北に敗れ2次リーグ敗退。

そして1月の選抜県予選、西陵に優勝をさらわれ、なんとか2位で本戦出場を果たした。

あの全国屈指の強豪、島原が県内で一度も優勝することなく選抜を迎えてしまったのである。

とはいえ、島原高校はもともとスロースターターのチームだ。

3月の選抜本戦ではみごと、2014年以来の準優勝を果たした。

そしてその勢いそのままに秋田で行われた魁星旗も優勝、2連覇を達成

 

島原のメンバー

今年の島原の面々も非常に面白い。

まずは、先鋒をつとめる松崎は真崎少年剣道会出身。この名前を聞いてアレっと思った方も多いはずだ。

実は彼、2年前に島原の大将をつとめた松崎の弟。松崎賢士郎は島原を玉竜旗準優勝に導くなど同校の歴史に名を刻む名大将で現在は筑波大学で剣を磨いている。長身な兄に比べてまだ小柄だがその機動力でチームの切り込み隊長をつとめる。

前田は有明剣道振興会出身で、中学道連個人3位の実力者。ポイントゲッターとして次鋒や副将にすわる。

松崎と前田は小学校時代に長崎県の副将、大将として全国都道府県対抗少年剣道優勝大会に出場している。

レギュラー1の長身を誇るのは若杉翔雄館出身。2月に行われた九州選抜でベスト8、先日の全国選抜でもその活躍が認められ優秀選手に選出された。ズッシリと重い飛び込み技が持ち味の島原らしい選手だ。

久御山中学出身の内藤は中学時京都個人3位。後に育英の大将となる横藤らとともに久御山中が全中団体3位入賞した時のメンバー。

黒川はチームの大黒柱で大将をつとめる。福岡県の強豪道場・須恵剣友会の出身。須恵中では九州個人3位。厳しい稽古により高校1年生の時から体は一回り大きくなった。ガッシリした体格、鋭い竹刀の振り、ぶれない体幹。心技体ともにこの世代のトップを走る選手だ。

ちなみに、先日の魁星旗では林田という選手が出場していた。そう、筑波大学で関東学生個人を制し、教員になってからは全日本選手権にも出場した島原OBを代表する林田匡平同姓同名なのである。おそらく、本人とは全く関係のないただの同姓同名なのだろうが、この名前を魁星旗のホームページで見たときは驚いた。(長崎には林田姓がそもそも多いらしい)

 

今後の島原

魁星旗を2連覇した島原であるが、シルバーコレクターの異名を完全に返上するにはこれから行われる玉竜旗、インターハイを是が非でも獲りたいところだ。特に、今までさんざん苦汁をなめさせられ、先日の選抜決勝でも敗れた九州学院への雪辱は果たさなければならない。

また、1年生の時からレギュラーとして活躍している黒川も共に戦った先輩の松崎や志築との約束を果たすべく今年には強い想いをかけて臨んでいる。

既に全国トップクラスの戦力を誇る島原だが、渡邉孝経総監督の基礎をみっちり叩き込む稽古が花開くのは例年通りにいけば夏前。これからどんどん強くなっていく島原を見せてくれるはずだ。

選抜と魁星旗を終え、残りの4大大会である玉竜旗とインターハイにはまだ数ヵ月時間がある。この数ヵ月で大きく成長した島原を見ることを楽しみにしたい。

 

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