2018年高校剣道 世代五傑・暫定版はこれだ!

 

毎年、「高校剣道を語る」などの掲示板で話題に上がる「世代五傑」

つまり、その世代で最も強い5人は誰か?という議論が延々と繰り広げられるのである。個人としての勝率で判断するのか、団体成績も含めるのか、剣風で選ぶのか、強さの基準は個々人で違うためほとんどの年で満場一致の答えが出ることはない。しかし、世代五傑は誰か!?という議論をしている時間それ自体が「楽しいのだ」。他の競技と同じく、それが剣道を楽しむ方法の一つだから、僕らは答えが出ない議論を延々と続けるのである(笑)

さて、今回はそんな「世代五傑」をこの4月から高校3年生になる剣士の中から完全な独断と偏見で選んでみたい。もちろん、最後の大会であるインターハイまでまだだいぶ時間があるので今回のものはあくまでも「暫定版」だ。暫定版をこうして書いておくことで、インターハイ後に答え合わせをするのもまた面白い。

ということで、今のところまでの戦いぶりなどを見てMaruoが思う世代五傑を挙げてみたい!

 

1.重黒木 (熊本県・九州学院)

今年の世代五傑を選ぶ際に重黒木を外すわけにはいかない。絶対王者である九州学院にスーパールーキーとして入学してきた宿命だろう、少しでも試合で結果が出ないと盛大に叩かれてきた重黒木だが、これまで彼が出してきた結果を見れば誰しもが賛辞を送らざるをえないだろう。

重黒木は横浜矢向剣友会で剣道を始める。潮田中時代には絶対的大将として全中個人優勝、団体準優勝。その勲章をひっさげて熊本の強豪・九州学院高校の門を叩く。(ちなみに全中決勝で潮田中が敗れたのが九州学院中) 

全国1,2を争う選手層の九学においても1年生後半からレギュラー入りし、主に先鋒で活躍。団体では選抜と玉竜旗で優勝を成し遂げる。そして上の代が引退してからは大将として九学を引っ張り、先日の選抜では見事6連覇を達成、続く魁星旗では3位入賞。

重黒木の剣風は無駄打ちせず粘り強く攻めて相手のスキを見つけるや一転、爆発的な瞬発力で1本を奪うというもの。その剣風により、1年生で先鋒に起用された際には引き分けが非常に多く、「先鋒として機能していない」などと言われたが、延長戦や個人戦にはめっぽう強い。

前述の通り全中個人優勝を成し遂げただけでなく、先日行われた九州選抜では個人優勝

九学の名だたる大将たちがそうであったように、やはり九学の大将という立場が人を育てるようだ。昨秋ではやはり少々頼りない感じがあったが、今年に入ってからは俄然大将のオーラが出てきて技の決定力が格段に上がったように感じる。

昨年11月に行われた熊本県新人戦では決勝で東海大星翔と代表戦にもつれこみ、重黒木がまさか東海大星翔の櫻井に敗れて優勝を逃した。同大会の個人戦で重黒木は優勝したものの、九学として不安が残るスタートになったことは間違いない。

しかしその後は若潮杯優勝、熊本県選抜県予選決勝では東海大星翔に雪辱を果たして優勝するなど順調な仕上がりを見せ、2月の九州選抜では団体で3位入賞。九学にとって団体は少々残念だったが、個人戦で重黒木は決勝で福大大濠の木島を延長戦の末破り見事優勝、九州チャンプとなる。

その勢いのまま乗り込んだ選抜では重黒木が大将の役割を果たす。準決勝の敬徳戦、前の4人が全て引き分けで大将戦に回ってきた。相手は1年生大将の小川。準々決勝であの福大大濠の木島と1年生エースの池田を破り準決勝に上がってきた。もしかすると、敬徳が九学すら食ってしまうかもしれない・・・という予想が観客の脳裏をよぎるが、重黒木はそれを裏切り、あっさりと小川に2本勝ち。格の違いを見せつけたのだ。

そして島原との決勝戦は代表戦にもつれこむ。両校とも大将の重黒木と黒川が出てきた。どちらも世代を代表する選手だ。延長が10分を超えた時、一瞬のスキをついた重黒木の引きメンが決まり九学が6連覇を果たした。

しかし、続く魁星旗の準決勝では今度は重黒木が育英の松澤から引き面を奪われ3位に終わった。

魁星旗が終わった段階で言えば、重黒木の実績と実力は同世代の中でトップだろう。このまま玉竜旗やインターハイで結果を残せば間違いなく九学の歴史に名を刻む大将となる。

 

2.木島 (福岡県・福岡大大濠)

大塚中出身の木島は強豪・福大大濠の大将をつとめる。

如水館出身の長野、池田兄弟ら多彩なタレント軍団の大将をつとめるのは生半可なプレッシャーではないだろうが、木島はその圧倒的な実力で福大大濠を引っ張っている。

福岡県中部といえば、東福岡福岡第一など全国区の強豪がひしめく激戦地。そんな中で今年の大濠は中部ブロック大会、福岡県新人戦、選抜県予選と全て東福岡との決勝戦を制して優勝を果たす。剣道の激戦地である福岡県でこの成績は実に素晴らしい。

福岡県だけではない。2月の九州選抜では、準決勝で九州学院、決勝でまたも東福岡を破り見事団体優勝。特に決勝の東福岡戦では大将戦まで東福岡にリードされていたものの、木島が東福岡の中山にメンメンの二本勝ちを収め逆転優勝を果たす。さらに個人戦でも木島は準優勝し、立派に強豪・福大大濠の大将としての役目を果たしたと言えよう。

木島の剣道は実にアグレッシブ。九州剣道らしく脚を使って自分のペースを掴み機会を見つけるやガンガン飛び込んでくる。引き技も上手く、非常に器用な選手でもある。

さて、九州チャンプとして乗り込んだ選抜だったが、準々決勝の敬徳戦ではまさか大将戦で1年生の小川に2本負けを喫し、代表戦では自らではなく後輩の池田を送り出されるという屈辱を味わった。そして試合は敗戦、ベスト8に終わる。

試合を見ていて、あの木島がまさか2本負けするとは・・・という驚きはあったが、これからの大会で必ずや挽回してくるはずだ。あの悔しさをバネに更なる成長を見せてほしい。

 

3.黒川 (長崎県・島原)

高校剣道界のビッグ3と言われる強豪・島原高校でチームの大黒柱である黒川。福岡県の強豪道場・須恵剣友会の出身。須恵中では九州個人3位。厳しい稽古により高校1年生の時から体は一回り大きくなった。ガッシリした体格、鋭い竹刀の振り、ぶれない体幹。心技体ともにこの世代トップの選手だ。

先日の選抜ではまたも宿敵・九学に延長戦の末敗れ、準優勝。ちなみにここ5年で島原は4大大会で8回も準優勝しているのだが、昨年インターハイ決勝で高千穂に敗れた以外は全て九学に決勝で敗れている。

準優勝ながらも悔しい結果に終わった選抜だが、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ魁星旗では決勝で育英を破り見事2連覇を果たす。黒川は決勝の大将戦で強敵・松澤を破り大将の仕事を全うした。

黒川としては、同校の偉大な先輩である松崎志築らが成しえなかった玉竜旗とインターハイ優勝を今年こそは成し遂げたいところだ。

 

大平 (栃木県・佐野日大)

昨年のインターハイ個人戦で2年生ながら準優勝した大平は今年最も注目されている選手の一人。

今年に入ってから佐野日大は茨城新聞社旗、選抜栃木県予選、関東近県選抜剣道大会、関東私学選抜剣道大会を全て制し、今年の関東王者は佐野日大であると全国に知らしめた。

大平の剣道は非常に「軽やか」。高校に入って一気に身長が伸びた大平だが、脚運びは非常に軽やかで試合を見ている印象はまさに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」。刺された時の一撃は致命傷となる。関東近辺の大会で度々対戦する水戸葵陵の岩部には通算で勝ち越しており、関東ではほぼ敵無しと言っていい。佐野日大の面々にとっても大将まで回せば間違いなく勝つ、という信頼感は団体戦において非常に大きな強みとなっている。

九州学院や福大大濠などの九州勢に対抗できる関東勢は佐野日大だけと大きな期待を背負って乗り込んだ3月の選抜大会、なんとなんと佐野日大は大社に1回戦負けを喫する。魁星旗では4回戦で福大大濠に敗れ、なかなか思った通りの結果を残せていない。

大平としても全国的にはいまひとつ昨年の輝きを見せられていないところで非常に歯がゆい時期だろうが、ここからの玉竜旗やインターハイでまた大平の輝きを見たいと思う。前回準優勝を果たしたインターハイ決勝の舞台にまた上がることになれば高校剣道界の歴史に残る快挙となる。

 

5.松澤 (兵庫県・育英)

育英の大将をつとめる松澤は茨城の結城東中時代、全中ベスト8の実力者。全中の4回戦で大塚中の谷口 (現・高千穂の大将)を破った松澤だが、準々決勝で重黒木にコテで敗れた。

毎年のように注目を浴びる九学、福岡勢、水戸葵陵などと違い、そこまで派手さはないが毎年のように自力のある良いチームを作り上げてくるのが育英だ。

選抜では団体でベスト8、松澤はその活躍を評価され、優秀選手に選出される。そして魁星旗では龍谷、東海大札幌、九州学院など名だたる強豪を抑えて準決勝進出。準決勝ではあの九州学院と大将戦にもつれ込んだが、松澤が延長戦の末重黒木に引きメンを決めて勝利。決勝では黒川擁する島原に惜敗したが堂々の準優勝だ。

 

さて、上記の5人以外にも、岩部(茨城県・水戸葵陵)、安藤(佐賀県・龍谷)、中山(福岡県・東福岡)、谷口(宮崎県・高千穂)、中尾 / 武蔵(大分県・明豊)、根本(奈良県、奈良大付属)、青木(北海道)、 (埼玉県・埼玉栄)、樋浦(千葉県・東海大浦安)、楠本(長崎県・西陵)、榊原(兵庫県・育英)、片山(愛媛県・新田)、吉田(東京都・明大中野)、武知(大分県・大分高)など、これからの活躍が楽しみが剣士ばかりだ。

 

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