神武館大会で活躍した剣士たちをひもとく ① (学生剣道)

 

以前、別の記事でも紹介したが、福岡北九州市にある神武館(しんぶかん)は60年以上の歴史を持つ道場だ。そこで毎年8月に開かれるのが、

全国少年剣道優勝大会(団体戦)神武館旗争奪少年剣道個人選手権大会(個人戦)だ。

九州を中心になんと例年400もの道場、学校と2,500人を超える出場者を誇る日本有数のマンモス大会なのである。いやはや、運営はさぞかし大変であろう。

試合は小学生から中学生まで学年別の部に分かれて行い、個人戦では参加人数が多いこともあって、優勝、準優勝、3位からパート1位、2位までを入賞としている。

この神武館大会、何が面白いかと言うと非常に大きな大会で優秀な剣士達が多く参加しているため、歴代の入賞者はその後の舞台で華々しい活躍をしているのだ。今や高校や大学、社会人で大活躍している剣士たちも小学生、中学生の頃はこの大会で入賞していたりするところを発見すると非常に感慨深いものがある。

そこで、今回はこの神武館大会の個人戦結果を遡り、Maruoが思ったことを何の脈絡もなくただただ語っていきたい!

 

第30回(平成21年)大会

さて、神武館のホームページでは今から9年前の第30回大会から閲覧することができる。

第30回(平成21年)の個人戦には総勢2,234名の剣士たちが参加している。

さっそく小学2年生の部で優勝している池田龍ノ介(如水館)を発見。双子の池田虎ノ介はパート2位に入っている。福岡の名門道場である如水館創始者池田氏の血を継ぐ双子は剣道かである父の影響で剣道を始める。この頃には既に頭角を現していたようである。

若き龍虎、全国の頂点へ (高校剣道)

2018.03.30

小学3年生の部にも有名どころがズラリ。優勝した重黒木祐介(横浜矢向剣友会)は今年の九州学院高校大将で先月の九州選抜では個人優勝。神奈川の出身だが、この頃からはるばる福岡まで遠征にきていたのか。準優勝の妹尾舞香(今宿少年剣道部)は今の中村女子学園大将。まさしく今の高校女子剣士最強の妹尾は先日の選抜で中村女子を2連覇に導いた。3位の黒川雄大(須恵剣友会)は今の島原高校大将。先日行われた魁星旗では同校を優勝に導く。同3位の渡邊龍真(境港松濤館)は鳥取から参戦。中学から熊本の九州学院に進学し中学、高校と強豪九学でレギュラーとして活躍中。パート2位の中山豊樹(福岡十生館)は現・東福岡大将。同じ道場の中山寛大は東福岡のライバル校である福岡大大濠でレギュラーをはる。

小学4年生の部、パート1位の井上達登(須恵剣友会)は昨年の福大大濠の大将をつとめた。諸岡昭徳(福岡十生館)は九州学院高で控えに入っていた選手。控えといっても玉竜旗で他県の強豪校をゴボウ抜きするなど全国随一選手層の厚い九学の補欠の実力はハンパではなかった。パート2位の寒川祥(光龍舘)は高校進学で香川から茨城・水戸葵陵に進学。葵陵の歴史に残る稀代の大将となった。関東個人チャンピオン。

小学5年生の3位には野中晧文(原田剣心会)が。上で書いた井上達登が福大大濠で2年生だった時に大将だったのが野村。

小学6年の優勝者・秋山健太(如水館)も有名剣士だ。福大大濠から早稲田に進学し活躍。3位の黒川大樹(須恵剣友会)は島原から慶應に進学したので彼らは10数年後に早慶戦で相まみえることになったわけだ。同じ須恵剣友会→島原という経歴では現島原大将の黒川雄大がいるのだが、彼らは兄弟なのだろうか? 同じく3位の佐藤祐太(東野少年剣道教室)は後の九州学院高中堅として槌田祐勢らとともに4冠に大きく貢献。

中学男子の部も面白い。(9年前はまだ中学生は学年別になっていない) 優勝した冨田剣太郎は福岡の常勝軍団・如水館の出身。高校は福大大濠、大学は日体大と剣道のエリートコースを歩む。今でも剣士として第一線で活躍されており、昨年行われた第42回福岡県教職員剣道大会の「高・大・教委44歳以下の部」では堂々の優勝を果たす。3位の米隼人(桜丘スポーツ団少年剣道部)は龍谷大平安から近畿大学に進学。一昨年の関西学生選手権では個人優勝。おっと、もう一人の3位は勇大地だ。小学生の頃から真田裕行らと個人戦の優勝を争ってきた上位入賞常連の勇。東福岡高校から早稲田大学へと進学、今年の春に大学を創業した。勇は10代の頃からまるで高段者のような美しい剣道をすることで有名だった選手。早稲田大学ではなかなか思った通りの活躍が出来なかったかもしれないが、社会人になってもあの美しい剣道を磨いていってほしいと思う。(今の段階では大学後の進路は聞こえてきていない) パート1位の百田尚生は福岡の強豪・筑紫台高校から日体大に進んだ剣豪。筑紫台では全九州3位。さて、同じくパート1位の渡邊賢人(大村中央少年剣道クラブ)の名前を知っている剣道ファンも多いだろう。大村中から島原高に進学、2012年に島原が玉竜旗初優勝を果たした時の大将である。玉竜旗決勝の相手は2年生大将の梅ヶ谷翔擁する福岡大大濠だ。両校の決勝は大将戦にもつれこみ、渡邊が飛び込みメンで先取。しかし、相手はあの福大大濠が誇る稀代の大将、梅ヶ谷だ。2年生とは言え異常な勝負強さと粘りで試合終盤に渡邊から逆ドウをもぎ取る。そして延長戦の末、渡邊が逆ドウを取り返し玉竜旗の頂点に立ったのだ。身長178cmの堂々たる体格を誇る渡邊だが、あの決勝戦ではより一層彼の姿が大きく見えた。ちなみに、梅ヶ谷はその時の悔しさをバネに翌2013年他校の強豪選手を抜きに抜きまくり玉竜旗奪取に成功する。俗に「梅ヶ谷の奇跡の11人抜き」と言われた伝説の大会である。

 

第31回(平成22年)大会

今から8年前の第31回大会には2,138名が参加した。

小学1年生の部では、おお、さっそくいるではないか。優勝した西原和哉(今宿少年剣道部)は当時まだ1年生だった2016年に福岡・玄洋中の次鋒として全国中学剣道男子団体を成し遂げる。当時のメンバーは今宿少年剣道部で構成されており、先鋒・田城智也、次鋒・西原和哉、中堅・斉藤光志郎、副将・谷口隆磨、大将・田城徳光。準決勝で東京の国士舘中、決勝で兵庫の加古川中を下し福岡県勢初の全中団体制覇だ。 3位の鮫島雅貴(東野少年剣道教室)も現九州学院中の中核メンバーで注目株の一人だ。順調にいけば来年九州学院高に上がってくる予定の鮫島、九州学院高の層がますます厚くなるのは間違いない。同3位の田城智也は前述の通り西原和哉のチームメイト。

小学2年の部で優勝した小畔直(如水館)も有名少年剣士。池田虎ノ介、龍ノ介、柿元冴月らとともに如水館黄金期を支え、出る大会出る大会で連勝街道を驀進した。老司中では福岡県チャンプ。昨年の全中では個人ベスト32。高校は池田兄弟と同じ福大大濠と噂されているが未だ確認が取れていない。3位の福家寿悠駿(光龍館)は地元・龍雲中で香川県チャンプ、が出場した昨年の全中では1回戦敗退。ちなみに近年の光龍館でトップクラスの剣士は山下渉、寒川祥岩部光のように茨城県の水戸葵陵に進学するケースが多いのだが福家寿はどうなるだろうか、楽しみだ。

小学3年の優勝者・曽我部龍雅(烈士舘道場)は地元宮崎からはるばる東京の国士舘中に進学、今は国士館高の1年生で同校の将来を担う逸材だ。ここでも池田 虎ノ介、龍ノ介の双子は準優勝、パート1位に入賞している。パート2位の西口知成(横浜矢向剣友会)は池田兄弟と同じ現・福大大濠2年生。先日行われた選抜でも団体戦に出場していた。来年の大濠はこの3人を中心に構成されていくのだろう。

小学4年生の部に目を移すと、優勝:黒川雄大(須恵剣友会)、準優勝:妹尾舞香(今宿少年剣道部)、3位:中山豊樹(福岡十生館)、パート1位:重黒木祐介(重黒木 祐介)、パート2位:中山寛大(福岡十生館)、渡邊龍真(境港松濤館) あたりは安定して入賞している。重黒木と同じくパート1位に入った岩部光(光龍館)は中学時に道連個人2位、現在の水戸葵陵で大将をつとめる。同じくパート1位の久保田陽紀(下妻スポーツ少年団)は中学時に全中個人3回戦まで勝ち進んだ実力者で、現在は東福岡高レギュラー。

ちょっと飛んで、小学6年生はそうそうたる面々が揃う。準優勝の水野義仁(若松振武会)は高森中3年時に梶谷彪雅らとともに全中団体優勝。筑紫台高3年時に出場したインハイ個人ではベスト8の成績を残す。その梶谷はこの神武館大会でパート1位。同じくパート1位には松﨑賢士郎(真崎少年剣道会)も入賞。3位に入ったのは剣道界で有名な井出4兄弟の次男、井手雷也(今宿少年剣道部)。長男の勝也はインハイ個人優勝、国士舘大学でも活躍した。姉と妹もいるが、こちらも全国区の選手。高校は兄と同じ福岡第一に進学し1年生時から大将をつとめる。激戦区・福岡にあって全国の頂点には手が届かなかったが、玉竜旗では絶対王者・九学の星子啓太をぎりぎりまで追い詰めるなど素晴らしい実力はある選手。国士舘大学では更なる飛躍を見せてほしいところだ。

中学の部はこの年から1年と2,3年に分けられたが、まとめて見ていくと入賞者にはずらっと九州学院中学の面々が並ぶ。中学1年の部、パート1位の影石大典、佐藤祐太、本間渉、パート2位の白山和大、中学2,3年でいうと準優勝の真田裕行、パート1位の漆島伊織、古閑章彦、パート2位の曽我貴昭は全て九州学院中の出身。全国の強豪道場が集まるこの大会でこの独占率は驚異的だ。彼らを中心として九州学院高は高校4大大会で前人未到の連勝記録を樹立するのである。ちなみに、真田に勝って中学2,3年の部で優勝したのは勇大地。この勇と真田は小学生1年生時からたびたび決勝戦でぶつかるライバルだ。それ以外でも、パート1位には安井奎祐(奈良心剣道場)がいるではないか。香芝中3年時に全中団体準優勝。決勝戦では大分の杵築中と延長戦までもつれこみ、最後は杵築中の大将・中根悠也が勝負を制した。当時中学剣道でトップクラスだった中根と安井がともに水戸葵陵に進学するというニュースは剣道界の注目を浴びた。安井は葵陵卒業後、早稲田大学の主力メンバーとして活躍中。

 

2年分書いたところでそこそこの分量になってしまったので、続きは「神武館大会で活躍した剣士たちをひもとく ②」で書きたいと思います!

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