全国高校剣道選抜、徒然なる雑感③ (高校剣道)

 

さて、前回に引き続き、3月に行われた全国高校剣道選抜大会を見てMaruoが思ったことを徒然ないままに語っていきたい。

 

佐野日大(栃木) VS 大社(島根) 一回戦

飛ぶ鳥を落とす勢いの佐野日大は間違いなく今回の選抜で優勝候補の一つだ。昨秋に新チームが発足してから若潮杯、茨城新聞社旗、栃木県新人戦、関東近県選抜、関東私学選抜で堂々の団体優勝。昨年のインターハイで2年生ながら個人準優勝を果たした大平を中心に関東No.1の看板を背負って選抜に乗り込んできた。

大平以外にも、志良堂、西野、原田光、原田龍、清水ら実力者がズラっと並ぶ今年は佐野日大にとって全国の頂点を取るビッグチャンスだ。昨年のインハイ団体では惜しくも3位と全国屈指の実力を持ちながらなかなか頂点に手が届かなかったこともあり、今年に懸ける想いは強い。

佐野日大、大いなる挑戦 (高校剣道)

2018.03.13

 

対するは島根県の大社高校。島根県では男女団体優勝、個人戦もほとんど表彰台を独占する圧勝で選抜本戦に勝ち上がってきた。選抜大会の前に行われた第20回中国高等学校新人剣道大会では予選リーグで興譲館、鳥取西を破り決勝トーナメント進出。一回戦で玉島に敗れベスト8。

先鋒から阿部、澁谷、鶴原、江戸、加藤の布陣はとにかく前に出る圧力がハンパではない。とにかく「前に前に、攻めて攻めまくる!」というチーム哲学が全員に浸透しているのが一目見て分かる。こういうチームは強い。さぞかし、相手チームは自分のペースで試合が出来ずやりづらいだろう。

案の定、一回戦の固さもあってか佐野日大の選手たちはなかなか勢いに乗ることが出来ない。先鋒から副将が全員引き分けで大将戦に全てがゆだねられた。と言っても、佐日の大将は会場の注目を集めるあの大平だ。昨年のインハイ個人で準優勝した実力はホンモノで、今年幾度となく対戦している水戸葵陵の岩部にも勝ち越すなど間違いなく世代トップクラスの実力を誇る。大将までタイで回し、大平が勝つというパターンで今まで何度も勝ち進んできた佐日にとって今回もまたそこまで心配するような展開ではなかったはずだ。

しかし、大社の加藤も負けていない。これまた前へ出る強い圧力で大平にペースを握らせない。特に上背のある加藤の圧力ははた目から見ていても凄まじい。大将戦は互いに決定打無く引き分け。

代表戦は引き続き加藤 vs 大平。大平が飛び込みコテに飛び込んで旗が一本上がる!しかし一本にはならない。惜しい。延長戦は20分を超えただろうか、最後は加藤が気迫の一本を奪い、大社が二回戦進出を決めた。

優勝候補の佐野日大はまさか一回戦敗退となったが、今回は気後れせず攻めの姿勢を崩さなかった大社を称賛するべきだろう。佐野日大には今回の悔しさをバネに一回り大きくなって帰ってきてほしい。

結局、大社は金沢市立工業、麗澤瑞浪をも退けベスト8進出。佐野日大を破った実力はブラフではないということだ。準々決勝で島原に敗れはしたが、優秀選手に鶴原が選出されるなど今大会で確かな爪痕を残した。

 

龍谷 (佐賀) vs 育英 (兵庫) 二回戦

佐賀県と言えば一昔前まで三養基だったが近年は龍谷が優勢だろう。県内では敬徳、三養基としのぎを削っており、去年10月の佐賀県新人戦では団体優勝。個人戦も安藤、與賀田、日野が優勝、準優勝、3位とほぼ完ぺきな成績を残した (もう一人の3位はライバルである敬徳の一年生大将・小川)。しかし、続く選抜県予選では決勝で敬徳に延長戦の末敗れ、2位で選抜本選進出を果たした。龍谷が夏のインハイに出るためには、小川夢希也擁する敬徳は避けて通れない試練だ。また熱いドラマが生まれそうな予感がする。

さて、兵庫県の育英は猛将・飯田監督のもと毎年全国上位入賞ができる自力のあるチームを作り上げてくる。昨年、”ロケットぶっ飛びメン” を武器に強豪選手をバッタバッタとなぎ倒し一躍注目を浴びた横藤が引退してからも育英のメンバーは松澤、榊原、福岡、猪俣、阿部、大津と実力者揃い。特に、阿部は中3時の全中個人で準優勝、松澤はベスト8。レギュラーに2人の全中8強がいるチームは全国見回してもほとんど無いだろう。ちなみに福岡錬もその全中に出場しており、3回戦で松澤に敗れている。

昨年の兵庫県新人戦では団体優勝、個人でも松澤、榊原、福岡が表彰台を独占と上々のスタートを切った。

さあ、試合開始。それにしても銀色の校章が真ん中に刻印された龍谷の胴は実に美しい。特に、玉竜旗団体3位入賞時の大将・久田松の着装は彼の華のある剣道と相まって惚れ惚れするほど美しかった。

先鋒、次鋒が引き分け。有効打こそ無かったが互いに地力のある締まった試合だ。試合が動いたのは中堅戦、引きドウの残心で足がもつれた榊原が転倒したところを見逃さなかった日野のメンが決まり一本。しかし、榊原もメンを取り返し引き分け。副将戦も引き分けで、勝負は大将戦に持ち込まれた。

育英の松澤は前述の通り全中個人ベスト8。バランスの良い正剣で個人的には今の3年生世代で五本の指に入る実力者だと思う。対する龍谷大将の安藤千真は愛知県の名門・洗心道場の出身。本庄第一高校に進学した木全らとともに活躍した。愛知県個人3位。あまりクセのない二人のハイレベルな真っ向勝負は見ていて実に気持ちがいい。おっと、松澤の出コテが綺麗に決まった! 安藤も猛攻をかけるが松澤が落ち着いてかわしそのまま時間切れ、育英が三回戦進出が決まった。

今年も育英、龍谷ともに良いチームを作り上げていると感じた。

 

明豊(大分県) vs 育英(兵庫県) 三回戦

さて、育英はなかなか面白い組み合わせを勝ち上がっているので、そのまま育英の戦いぶりを書いていきたい。

育英の3回戦の相手は大分県の明豊

明豊は2016年に創部されたばかりの新興勢力だが、名将・岩本総監督の指導のもとメキメキと力をつけてきた。2月に行われた九州選抜では見事団体3位入賞、近年の高校剣道で最も高いレベルを誇る九州でこの成績は称賛に値する。

明豊は中尾、武蔵、堤、釘宮、伊藤らが1年生時から大分県を制するだけでなく全国でも活躍し「破天荒ルーキー」として剣道界の注目を浴びた。そんな彼らも今年で最終学年を迎える(堤と板井はまだ2年だが)。今年こそは全国の頂点を獲りたいところだ。

佐野日大、大いなる挑戦 (高校剣道)

2018.03.13

明豊の前衛をつとめる堤と板井はスピーディーで思い切りの良さが持ち味。ともに2年生の二人、今年の秋からは彼らが明豊を引っ張っていくのだろう。さて、堤が早速思い切りのよい飛び込みメンで大津から一本を奪う。が、大津も負けじと飛び込みメンを奪い返し引き分け。育英は次鋒に阿部を入れてポイントゲッターにしたいところだったが、板井に電光石火引きメンを決められてしまいそのまま板井の一本勝ち。

明豊の中堅・釘宮は昨年インハイ個人に出場した実力者だ。インハイ一回戦で準優勝した佐野日大の大平に延長の末敗れた。この試合でも抜群の機動力で惜しい技を連発するが試合終盤に育英の榊原が合い引きメンを制し一本勝ち。ここまで榊原は安定した試合運びで中堅の役割を立派にこなしている。

おっと、お返しとばかりに明豊の副将・武蔵が福岡との合い引きメンを制し一本勝ち。武蔵は剣豪らしい苗字もさることながら堂々とした剣風でMaruoが個人的に注目している選手だ。

さあ、ここまで明豊が2-1とリード。育英は大将の松澤が少なくとも一本勝ちしなければならないが、明豊の大将・中尾は九州選抜個人で3位入賞した猛者。

上背とパワーで勝る中尾が豪快に攻めるが、松澤は多彩な技と足さばきで対抗する。それにしても松澤、実に高いレベルでバランスの良い選手だ。このオールマイティ感はタイプこそ少し違えど、昨年の高千穂大将・清家を連想させる。

あ、中尾の飛び込みコテが松澤の胴着にひっかかった!そこをすかさず松澤の引きメンがドッゴーーーン!!会場が沸く!育英の猛将・飯田監督も興奮気味だ!勝負はそのまま松澤の一本勝ちで代表戦に突入。

明豊は代表戦に中尾ではなく武蔵をチョイス。先ほど福岡に一本勝ちした良いイメージをもって試合に臨んだ武蔵だったが、引きメン終わりの居着きを見逃さなかった松澤の飛び込みメンが決まり、育英が逆転勝ちで準々決勝にコマを進めた。

 

奈良大付属(奈良県) vs 育英(兵庫県) 準々決勝

興南(沖縄)、龍谷(佐賀)、明豊(大分)という強豪校を破って準々決勝に上がってきた育英の相手は奈良大付属だ。

奈良県の絶対王者は樟南(鹿児島)、龍谷大平安(京都)、そして昨年のインハイ王者・高千穂(宮崎)を破ってここまで来た。

全国大会の常連である奈良大付属は男女、団体、個人併せて春の全国選抜14年連続出場、夏のインハイは40年連続出場というとんでもない記録を持つ。個人では昨年引退した髙山が2年時にインハイ個人3位、3年次にベスト16に入ったことは記憶に新しい。今年も例年通り、団体、個人で奈良県を制圧し全国の舞台に戻ってきた。

奈良大付属のレギュラーは根本を中心に林、舘井、上田、山本、下垣、吉田と粒ぞろい。根本は地元の富雄中時代に全中出場。

実力が拮抗している両校の対戦は副将戦を終えて全て引き分け。勝負はまたしても大将戦に持ち込まれた。180cm以上はあるだろう長身の根本の武器はリーチのある飛び込み技。一方で返し技や出コテも上手い。

どちらかといえば松澤が優勢に試合を進めるが、試合中盤、根本から放たれた長いリーチのツキが松澤の喉元を正確にとらえた!思わずのけぞる松澤。見事な一本だ。奈良大付属の応援団は狂喜乱舞!

追いすがる松澤、しかし無念の時間切れ。奈良大付属が3位入賞を決めた。

ベスト8で敗退した育英だったが、その確かな実力がキラリと光った。まさしく穴のない布陣で今年も玉竜旗、インターハイで活躍を見せてくれるはずだ (この記事を書く前に行われた魁星旗ではみごと準決勝で九州学院を破り準優勝を果たした!)

 

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