福岡が生みし天才剣士 (学生剣道)

如水館、福岡十生館、神武館、今宿少年剣道部、須恵剣友会・・・

福岡県ほど全国トップクラスの剣道道場が集まっている場所はない。身近に剣道があることで福岡県民は日頃から剣道に親しみ、その土壌からこれまでに数えきれないほどの名剣士を生み出してきた。高校剣道界では福大大濠、東福岡、福岡第一といった福岡県の高校が全国の舞台で活躍し続けていることもまた福岡県でいかに剣道が盛んかを示している。

そしてまた一人、福岡県から日本を代表する剣豪になる可能性を秘めた逸材が出てきた。

如水館の 小畔 だ。

 

如水館の天才

今年の春で高校一年生となった小畔だが、その剣の才は小さい頃から注目されていた。

小畔は父の影響で幼い頃から如水館で剣道を始める。ご存知の通り、如水館は福岡屈指、いや全国屈指の強豪道場でこれまでに数えきれない名剣士を輩出してきた名門。

小学1年生の9月には福岡市剣道祭の小学1,2年生の部で同じ道場の一つ年上の池田虎ノ介・龍ノ介を抑え個人優勝。同じ月の福岡市南区剣道祭では逆に優勝と準優勝を池田兄弟に奪われ、小畔は3位に終わる。そして翌10月、福岡県剣道道場連盟少年少女学年別選手権大会の小学1年生の部で優勝し、同じ学年の福岡県チャンプとなった。ちなみに小学2年生の部では池田龍ノ介が優勝。彼らはそこから福岡県の大会を勝ちまくっていくことになる。

若き龍虎、全国の頂点へ (高校剣道)

2018.03.30

翌2009年、第5回巌流杯少年剣道大会の小学校低学年の部に如水館は小畔、岡田柿元池田兄弟という布陣で臨むことになった。ここから如水館の黄金期を作り上げることになるメンバーの大枠はこの段階ですでにほぼ完成されていたわけだ。結果はみごと優勝。

小畔はこの頃から皆より頭一つ分高い背を活かした飛び込み技を得意としていた。

小学2年生になった小畔は大将として熊本で行われた宮本武蔵旗の小学生低学年団体戦に出場。先鋒から矢野御手洗市川楠元、小畔というこれまた強力メンバーで優勝。柿元に代表されるように、女子剣士が小学中学と団体戦の主力を担っている点は如水館の特徴の一つと言える。さて、如水館は同年8月に行われた神武館旗に参戦。全国の猛者が集まるこの大会の小学2年生の部で小畔は見事優勝。如水館に小畔ありと全国に知らしめた。

如水館の小学生チームは小畔、池田兄弟、岡田、柿元、矢野御手洗楠元市川らの活躍で福岡県内のみならず全国道場少年剣道大会、昇龍旗、大麻旗厳流杯、近藤杯、神武館旗、宮本武蔵全国小中学生剣道大会などなど大きな大会で勝ちまくる。

中学生になった小畔はさっそく5月の近県少年剣道大会で個人3位入賞。優勝したのは福大大濠のレギュラーとして活躍中の先輩・長野だ。そして10月、長野や池田龍ノ介、柿元冴月らとともに出場した全国少年剣道優勝大会の中学団体で如水館は見事優勝。小畔は次鋒として活躍した。

如水館は中学の部でも小畔、池田兄弟、竹本、柿元矢野といった豪華メンバーで勝ち星を積み上げていった。

小畔が中学3年生で迎えた全国道場少年剣道大会、如水館は橋垣、御手洗、市川、矢野、小畔という布陣で挑んだ。

如水館は順調に勝ち上がり、準決勝に辿り着いた。準決勝の相手は岡山の昇龍館一福道場。先鋒と次鋒が引き分け。中堅の市川が豪快な引きメンを決めてリードを奪う。副将の矢野も試合序盤に引きメンで一本、そのまま時間切れとなり如水館の決勝進出が決まった。しかし小畔、全く気が緩んでいない。周りから頭一つ高い身長でスッと構え、昇龍館大将の赤星を攻める。試合中盤、相メンに飛んだ小畔の竹刀が難なく赤星の面を捉えた!何というリーチとスピードだ。小畔もそのまま一本勝ちで如水館が3-0と快勝、決勝にコマを進めた。

さて、決勝の相手は最大の難敵・九好会だ。九好会は九州学院中学が道場大会に出場する際の団体名で同じメンバー。この年の九学中は全中で団体優勝、個人でも荒木、平尾が優勝、準優勝するなど全国を席巻した最強チーム。細身な如水館メンバーに比べて全員が一回り以上大きい体格を誇り威圧感がある。

しかし百戦錬磨の如水館は決して気後れすることはなかった。先鋒の橋垣が手塚から華麗な飛び込みコテを奪って先鋒の役割を果たす。次鋒・御手洗の相手は鮫島、スピードのある攻撃的な剣道をする選手だ。中盤まで試合は五分五分、しかし試合中断直後、鮫島の飛び込みメンが御手洗を捉え一本。そして主審の「二本目!」の合図の直後、今度は飛び込みコテ!鮫島、とんでもないスピードだ。鮫島が二本勝ちを収め、九好会がリードを奪い返す。中堅、副将はいずれも引き分け。

男女混合の試合であまりこういうことを言うのは適切ではないかもしれないが、男女のフィジカルに差が出てくる中学生の部で、全中個人準優勝する実力を持つ平尾と互角に戦い引き分けに持ち込む市川はとてつもない女剣士だ。

さて、1-1ながら本数差でリードを奪われている如水館、小畔は最低でも一本勝ちしなければならない。相手は世代最強の荒木だ。長身細身の小畔と、上背はそこまでではないが小畔の2,3倍はありそうな体の厚みをもつ荒木。対照的な体格の二人の大将戦はまず小畔が惜しい飛び込みメンを放つ。如水館応援団はわっと沸くが一本にはならない。それにしても荒木のパワーはすさまじい。圧倒的な力で小畔を押し込んでいく。小畔、たまらずメンに飛び込んだところを荒木が完璧な抜きドウ!パワーだけでなく繊細さも兼ね備えている恐ろしい剣士だ。小畔いよいよ後がなくなった。

猛攻をみせる小畔。荒木もうまくさばいていくが、小畔の攻めをよけようと荒木の手元が上がった瞬間、小畔のコテが炸裂!防御の形を見て器用に斜め横から打ち込んだ技ありの一本だ。これでもう一本奪えば如水館の逆転優勝。小畔、捨て身の逆ドウを放つが惜しい!

結局、そのまま時間切れ。如水館、惜しくも優勝はならなかった。

一方、全国道場少年剣道選手権大会に出場した小畔は見事3位入賞、世代トップクラスの実力を全国に知らしめた。

地元福岡で老司中の大将もつとめていた小畔は昨年の全中個人戦に出場。一回戦で岐阜県・長森中の森園、二回戦で新潟県・直江津東中の長谷川を破ったが、三回戦で千葉県・幕張本郷中の鈴木に延長の末敗れ、ベスト32に終わった。前述の通り、優勝したのは九学中の荒木、準優勝は同校の平尾。団体戦は福岡県予選で高田中が25年ぶりに優勝し全中に出場したため老司中の出場はならず。

 

竹ノ内佑也2世

長身細身で打突機会を上手く捉えたリーチの長い飛び込みメンを得意とする小畔。一方で、コテ、逆ドウ、引き技もオールマイティに使える器用さも持つ。そんな彼の剣道を見ている時、ふとある剣豪を連想した。

そして、今年から福岡大大濠に進学する、という噂を聞いた時、やはりちょっと似ているなと思った。

大濠の伝説的大将・竹ノ内佑也

2011年に大濠の大将をつとめた竹ノ内、数々の名勝負を演じインハイ団体優勝、玉竜旗二連覇など華々しい功績を残した。特に剣道ファンの印象に強く残っているのは、分かっていても避けられない爆裂飛び込みメンだ。2011年の玉竜旗決勝水戸葵陵戦では高倉との相メンを素晴らしい飛び込みメンで制し優勝。しかし更に驚いたのはインハイ団体決勝の小山戦。大将戦を前にして小山が2-1とリード。小山大将の市川に勝つしかない竹ノ内だったが、試合開始直後、フェイントからの飛び込みメンが炸裂!そして二本目開始直後またも飛び込みメン!これも華麗に決まり、なんと試合時間たったの約20秒で大濠が逆転優勝を決めた。なんという衝撃的な飛び込みメンだ・・・会場のどよめきはしばらくやまなかった。

言わずもがな、竹ノ内は筑波大学在学中に全日本剣道選手権優勝、世界選手権団体優勝、全日本学生団体優勝などを達成し、現在も警視庁で日本を代表する剣豪として活躍中だ。

まだ線の細い小畔だが、高校の2年半で竹ノ内のような機会をとらえた爆裂メンを見せてくれるのではないかと勝手に妄想している。

 

龍虎と共に全国の頂点へ

今年の春に高校一年生になる小畔。進学したのは地元の超名門・福岡大大濠高校だ。高校剣道界に燦然たる成績を残し続けている同校だが、新チームも相当強力だ。

ざっとMaruoの妄想で団体を組んでみると、

先鋒 濵地  (元岡中)

次鋒 小畔  (如水館 / 老司中)

中堅 池田龍ノ介 (如水館 / 老司中)

副将 西口  (東松舘/ 関中)

大将 池田虎ノ介  (如水館 / 老司中)

いやはや実に豪華な面子だ (妄想だが)。上に加えて大塚中出身の岡本らもかなりの実力者。この布陣であれば九州学院など他県の強豪にも全く引けを取らず、十分に全国の頂点を狙える。小中学校時代のように池田兄弟と頂点まで駆け上がるか、楽しみだ。

 

まとめ

剣キチさんのブログに書いてある通り、毎年彗星のごとく現れ華麗に舞う剣士たちが我々剣道ファンをいつもワクワクさせてくれる。如水館が生んだ若き天才剣士はこれからどんな活躍を見せてくれるだろうか。楽しみにしたい。

 

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