福岡県ライバル対決、決着!(高校剣道)

福岡大大濠東福岡を知らない高校剣道ファンはいないだろう。

両校ともに高校剣道界に輝かしい成績を残してきた超名門。どちらも全国屈指の実力を誇りながら同じ福岡県に所属しているということで全国への椅子を巡って数えきれない死闘を演じてきた。そして、今年もインターハイへの椅子を巡って名勝負が生まれた。



これまでの戦い

今年の2月にブログにも書いたが、昨年秋に発足した新チームでは福大大濠が東福岡に公式戦3連勝。しかも3回とも公式大会決勝の舞台で、である。東福岡にとって福大大濠はまさに目の上のタンコブ、特に九州大会決勝でまさか同県の宿敵に大将戦逆転で敗れた時は歯ぎしりするくらいの悔しさであっただろう。

優勝 準優勝
11月 中部ブロック新人剣道大会 福岡大大濠 東福岡
12月 福岡県高等学校剣道新人大会
(兼・選抜剣道大会県予選会)
福岡大大濠 東福岡
2月 第34回九州高等学校剣道大会 福岡大大濠 東福岡

 

両校の大将はそれぞれ世代を代表する木島(福大大濠)と中山(東福岡)。

中部ブロック新人戦では中山が木島をコテで下したものの、その後の2回は木島に軍配が上がっている。特に九州大会決勝の大将戦は中山が引き分ければ東福岡の優勝が決まるという展開で木島が怒涛のメンメンの2本勝ちを収め福大大濠が大逆転、優勝をさらった。

永遠のライバル!福岡大大濠と東福岡 (高校剣道)

2018.03.13

 

インターハイをかけた戦い

夏に引退をむかえる3年生にとって最も重要なライバル対決といっていい大会が6月に訪れた。

福岡県インターハイ予選である。

高校剣道4大大会の中でも最高峰にして最後に行われるインターハイに出場できるのは団体男女1校ずつ。つまり、3年生にとって最後にして最高の舞台であるインターハイに出場するためには必ずライバルを倒さなければならないということだ。

嗚呼、高校剣道ファンにとってこれほどの悲劇はない。高校野球に例えるならば大阪桐蔭と履正社のどちらかしか甲子園に行けないようなものだ。前述したとおり両校共に全国屈指の実力を持っていることは疑いようがない。どちらが出場しても全国上位を狙えるだけにどちらかが県予選で散ってしまうのはあまりに惜しい。しかし、勝負は勝負だ。

大方の予想通り、県予選決勝の舞台に上がってきたのは福大大濠と東福岡。いつものことのように思えるが、決勝に上がってくるまでに福岡第一、筑紫台、八女学院、福翔、西日本短期大学付属といった全国の舞台でも通用する実力を持つ強豪を連続で破るのは容易なことではない。現に、福岡第一は全国の強豪が集う今夏の玉竜旗で準々決勝まで勝ち上がり、絶対王者・九州学院と大将戦延長までもつれこむ死闘を繰り広げた。第一は大濠や東福岡と同県なため中々全国に上がってこられないが、全国有数の強豪校で2012年に井出を擁してインターハイ団体決勝まで勝ち上がったことは記憶に新しい。西日本短期大学付属も2016年の玉竜旗ではベスト8入りしている。

さて、そんな激戦区の福岡県で決勝まで上がってきた両校の布陣はどちらも豪華。

福大大濠は先鋒から、井上、池田(虎)、政野、濵地、木島。切り込み隊長・井上と高校剣道界注目のポイントゲッター・池田の前衛は破壊力抜群。池田は1年生から層の厚い大濠のレギュラーに抜擢され、主要大会で大活躍してきた。今年3月の選抜でも大車輪の活躍を見せ、敗れはしたが準々決勝で敬徳の小川との代表戦を1年生で任された逸材。池田と同学年の濱地はその勝負強さでレギュラーに定着してきた。補欠には中山と長野。この2人も本来なら全国で活躍できる実力を持つ剣士で大濠の選手層が如何に厚いかを見せつけられる。

対する東福岡は去年から安定したレギュラー陣。先鋒から和田、菊池、樋口、原、中山。いずれも世代トップクラスの手練れ揃いで、中堅の樋口は1月の選抜県予選個人で優勝するなど高い実力を誇る。

全国トップレベルの決勝戦を会場は固唾を飲んで見守る。福大大濠の赤胴と東福岡の光沢ある茶胴の対比が美しい。この胴をつけることに憧れ、日々の稽古に励む少年剣士は全国にいるのだ。

さて、井上と和田の先鋒戦は井上がメンを奪い大濠が先勝。

大濠としては次鋒の池田で勝ちを重ねて東福岡を突き放したいところだ。しかし、東福岡の菊池も経験豊かな実力者だ。試合序盤に池田がコテ、メンと惜しい打突を放つが一本にはならない。九州らしいスピーディな剣道が持ち味の両者だが、全体的に慎重な試合運びとなり延長戦へ。延長戦も決め手を欠く展開だが、鍔ぜりの別れ際から間合いを詰めた池田のツキが菊池のノドを捉えた!!かに見えた。しかし旗は1本しか上がらない!その直後も池田の惜しい飛び込みメンがあったものの次鋒戦は引き分け。東福岡としては大濠のポイントゲッターを抑えることに成功。

東福岡の中堅・樋口は非常にバランスよくメン・コテ・ドウどれでも1本が取れる選手だ。個人戦でも非常に強く、選抜県予選個人での優勝に加えて今回のインハイ県予選個人でも見事準優勝しインハイ出場を勝ち取った。激戦地福岡でこの成績は素晴らしいの一言。

中堅戦は序盤に樋口が政野から技ありの引きドウを先取。九州大会決勝でもそうだったが、大舞台での樋口のドウ技はキラリと光る。結局、樋口が守り切り1本勝ち。東福岡が勝負を振り出しにもどした。

大濠の副将は元岡中出身の2年生・濵地。中山や長野といった全国屈指の実力者をおさえてレギュラー入りを果たした。小柄ながらも闘志あふれる勝負強い剣道が持ち味だ。高校剣道の経験で言えば1年生の頃からレギュラーとして戦ってきた東福岡の原に分があるだろうか。

試合は序盤から動く。試合開始直後に原の懐に飛び込む濵地、そこからの引きメンが炸裂!オオォー!!と会場が沸くがちょっと打突が浅かったか、旗は上がらない。この副将戦で敗れた方は大将戦を前にして大きなハンデを負うことになる。絶対に負けられない!そんな二人の闘志がバチバチを伝わってくるかのように激しい技の応酬が続く。

試合の均衡を破ったのは濵地だ。間合いに原の竹刀が入ったその瞬間!濵地の身体が躍動し原のメンをとらえた! 

バァーーーン!!オオオォォオーーー! 濵地が大一番で貴重なリードを奪った。

リードを奪っても濵地の攻撃は緩まない。続けざまに惜しい引きメン!飛び込みゴテ!原も負けじと飛び込みメン!1本が試合の流れを大きく左右するこの場面で1本1本の打突に会場が大きく揺れる。

鍔ぜりからの別れ際、原の圧力で濵地の態勢が一瞬崩れた!そのスキを原は見逃さなかった。間髪入れずに飛び込みゴテ!!原がまた試合を振り出しに戻した。その直後、試合時間終了の笛。おお、ギリギリの1本だったのか・・・まさに手に汗握る試合だ。

延長戦。

延長戦に入っても互いに一歩も引かない濵地と原。しかし、延長戦開始から約15秒、後ろに下がった原を追って濵地が大きく跳躍しコテに飛び込んだ!バコーーン!!と完璧なコテが決まり濵地の勝利!大濠、大将戦を前に貴重なリードを奪った。濵地、恐るべき勝負強さだ。

これで東福岡大将の中山は勝つしかなくなった。しかし、相手は決勝の場面で何度も敗れたあの木島。

自身が勝たなければインハイ団体出場の夢がついえる中山、果敢に飛び込みメンで攻める。昨秋の段階では長身ではあるが細身な選手という印象だったものの、1年経って非常に体がガッシリして打突にも重みが増したように感じる。体躯で勝る中山をフットワークでいなして機会をうかがう木島。

木島を場外に押し出そうとした中山に審判が合議をかける。が、反則は無しで試合開始。その直後、長身の中山がスッと間合いに入り竹刀を振りかぶる。思わず木島の手元が上がった!中山、フェイントからの狙いすましたコテが炸裂!1本だ!このまま試合が終了すれば代表戦、中山がもう1本取れば東福岡の逆転優勝だ。

試合開始線に戻る2人。木島としては落ち着いて仕切り直したいところだ。

しかし。

試合開始直後、中山の気勢におされてか木島の手元が浮く。鋭い軌道を描いた中山の竹刀が木島の胴を切り裂いた

バチィィーーーーーーーン!!。 逆ドウだ!

うわああぁぁぁーー!!!会場は大盛り上がりだ!まさかここで逆ドウとは!

なんということだ・・・大濠陣営は目の前で起こったことを信じがたいというように呆然となる。気力が抜けたようにゆっくりと開始線に戻る木島。目の前にあった勝利がスルリと指の間からこぼれ落ちていったかのようだ。名門・大濠、今夏のインターハイ出場はかなわなかった。

 

まとめ

昨秋からどちらかと言えば大濠優位だったライバル対決は最後の最後に東福岡に軍配が上がりインターハイへの切符を手にした。また、個人戦でも樋口が準優勝、中山が3位と結果を残した。

悔しい結果となった大濠だが、決勝で健闘した池田(虎)、濵地をはじめとして池田(龍)、西口、岡本、新1年生の小畔、矢野など早くも秋以降の新チームが楽しみだ。一方でレギュラーを張り続けてきた3年生が引退した後の東福岡はどのような布陣で臨むのだろうか。高校剣道界随一のライバル対決は今夏以降も目が離せない。

 

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2 件のコメント

  • 大濠と東のドラマを臨場感たっぷりに記していただき、たくさんの人に知ってもらえる機会を作っていただいてること、感謝です。
    これからもドラマは続くのですが、またお願いします。

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